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ASIAの独り言

在米ジョミブル者の独り言。全て自己責任でお読み下さい。
愛の妄想劇場:「よばい」
事の次第は大手小町のサイトで初潮のときのお赤飯の由来について書いてあったのを読んだのがきっかけでございやした。それによると、昔の日本では娘が月のものを迎えたときにご近所にお赤飯を配って「ウチの娘が大人になりました、夜這いに来てください」とお知らせするっていう意味合いがあったんだそうです。勿論やたらめったらに配るわけじゃなくて、親の意中のお宅に持っていくんだそうで。それで、へぇ~と思いながらもこんな妄想が飛び出したわけで…↓ オヤツ(!)程度の軽~い妄想です♪(^。^)




とんとん。

古びた家の扉を誰か叩く者がいます。ブルーは読んでいた書物から顔を上げました。しかし、村外れの家に住むブルーを訪れる者はこの村には滅多にいません。ですので、ブルーは風の音か何かだろうと思いました。

とんとん。

しかし、どうやら本当に誰かがブルーの扉を叩いているようです。(一体誰だろう、珍しいこともあるものだ)ブルーは読みさしの本を傍らに置くと、重い腰を上げて玄関まで出てきました。

「はいはい、今開けるから」

カラカラと引き戸を開けると、目の前には誰もいません。時刻は夜更け、外はとっぷりと暗くなっています。「??」と思いながら、悪戯だろうかと目をこらすと、ブルーの袖を引っ張る手が。ブルーは今まで自分の目線と同じ高さの場所を眺めていたのですが、下の方を見ると、目の前にはブルーの背丈の半分くらいの子供がちょこんと立っています。暗い門灯に照らされて夜目にも綺麗に輝く金髪の、可愛い顔立ちの少年です。それは近所に住むジョミー少年でした。見たところ大人の付き添いはいないようです。

ブルーは元々色素が薄く、強い日差しが苦手でした。ですので昼間にあまり外を出歩くことはありませんでしたが、時折窓から外を見るとジョミーが外で元気に遊んでいるのを良く見かけます。しかしジョミーを見かけるのは当然日中で、こんな時間にこんな年かさの子供が一人で外をうろついているなんて尋常ではありません。村で火事とか何か大変なことが起きたのかもしれない。日頃殆ど村の者と付き合いのないブルーですが、多少緊張感を覚えてジョミーに問いかけました。

「こんばんは、ジョミー。こんな時間にどうしたんだい」
「こんばんは、ブルー」

ジョミー少年は礼儀正しく挨拶をしたかと思うと、手にしていた包みをブルーの前に差し出します。

「…?なんだい、これは?」
「ブルー。僕のところによばいにきてください」
「…は??」
「僕のところによばいにきてください、おねがいします」

キツネにつままれたようなブルーの顔を見て、律儀に少年は同じ台詞を繰り返すのです。一瞬ブルーは何かの聞き間違いではないか、と自らの耳を疑いました。よばい…夜這いのことか?!と耳から聞こえた単語と自らの知識が一致するのに少々時間がかかってしまいました。それも当然、ジョミー少年は確か年のころはまだ10歳にもならない子供なのです。確かにこの村ではまだ夜這いの風習が残っているのですが、一体全体、そんな言葉をどこで覚えたのでしょう。何かの冗談かとも思いましたが、目の前のジョミー少年は至極真面目な顔をして、澄み切ったつぶらな碧の目で自分をまっすぐに見上げているのです。いや…まさかそんなわけがありません、きっとジョミーは何か勘違いをしているのでしょう。あまりの不意打ちに少々目眩を覚えたブルーでしたが、気を取り直してとりあえず聞いてみました。

「あのね、ジョミー。君は一体全体、よばいという言葉の意味を知っているの」

すると、ジョミー少年はキラキラと澄んだ瞳で答えるのです。

「よばいって、けっこんしたい人達がするんでしょ。僕、ブルーとけっこんしたいから、僕のところによばいにきてください。」

ブルーは内心頭を抱えてしまいました。ジョミーの言っていることは、確かに間違いではないのでしょうが、多分ジョミーは夜這い自体をどういうものか理解していないのに違いないのです。一体全体どこでそんな言葉を聞いてきたのやら…しかしどちらにしても、自分がこの目の前の年端もいかない子供に求愛されていることだけは理解できました。それに、ジョミーが自分に向かってまっすぐに差し出している包みは一体なんでしょう。

「…で、これはなあに」
「これ、お赤飯。父さんと母さんが言ってたんだ。うちの姉さんがオトナになったから、キースのおうちにお赤飯を持っていくんだって。キースと姉さんをけっこんさせたいんだって言ってた。だから、僕もブルーのところにお赤飯持ってきたの」

それを聞いてブルーには思い当たることがありました。確かジョミーの姉スウェナはそろそろ月のものが来てもおかしくない年頃です。村の事情にはあまり詳しくないブルーでしたが、スウェナとキースが同じくらいの年頃で、親同士も仲良くしていることくらいは知っていました。ということは、ジョミーの両親はスウェナとキースを娶わせようと画策しているということなのでしょう。抜かりのないことだ、と感心したブルーでしたが、今はそれどころではありません。どうやら家をこっそり抜け出してきたらしい子のこのキラキラ輝く瞳を前にして、一体どのように説明すればよいものやら。ジョミーはきっと自分の両親があれこれと娘の将来を考えて相談していたところを盗み聞きしていたのに違いありません。当然「よばい」の内容は漏れ聞いただけの会話では分かろう筈もなく…。ブルーは色々考えを巡らせた上、子供相手とはいえ誤魔化さずにきちんと説明すべきだろうかと思い悩みました。いやいや、いくらなんでもそんなわけにはいきません。そのときブルーは巧い言い訳を思いつきました。

「あのね、ジョミー。これは女の子だけが配るものなんだよ。男の子はこういうのはやらないんだ」
「え?!そうなの?!」

新たに得た知識に、ジョミーは驚いたようでした。そしてなんだか物凄く悲しそうな顔をするのです。

「でも…僕、ブルーとけっこんしたいの。それに、僕もちゃんとオトナになったんだよ」

嫌~な予感がしてブルーがよくよく話を聞いてみると、どうやら一週間前、ジョミーはブルーの夢を見て、目が覚めたら下着が汚れてしまっていたらしいのです。夢の内容は伏せて近所の遊び友達であるキムにこっそりその話をしたところ「なんだジョミー、お前それオトナになったってことなんだぞ。カッコイイなぁ~☆」と言われたのだそうです。どうやらキムはジョミーと同い年の割にジョミーより随分マセている様子。

ブルーは今度こそ弱り果てました。つまり、ジョミーはブルーの夢を見て、初めての…。自分は何もしていないのに、純真な子供を堕落させてしまったということなのでしょうか。ブルーは少々自己嫌悪をの念を覚えました。夜這いの意味も知らない子供を目の前にして、なんだか自分が物凄く汚いもののように感じてしまいます。

ブルーはもともとこの村にあまり知り合いや友人はいませんでした。ブルーの両親はどこか都会から逃げるように出てきてこの辺鄙な村に移り住んだ、いわばヨソモノだったのです。両親がこの村に住み着いたとき、ブルーの母親は妊娠していました。きっと結婚を反対されて駆け落ちをしてきたのに違いないというのが村人達のもっぱらの定説でした。そして生まれたブルーは銀髪に紅い目、村人達の目にはさぞかし奇異に映ったことでしょう。両親は元々あまり社交的でもなく、村人達からもこっそりと隠れ住むように暮らしていたのでブルーは子供の頃からいつも一人で遊んでいたのです。そして両親が相次いで亡くなった今、ブルーは本当に一人ぼっちで天涯孤独でした。小さい頃から一人遊びが得意だったブルーは、幸運なことに豊かな想像力と文才に恵まれ、隣町の出版社で細々とですが物書きで生計を立てていました。

村人達は表立ってブルーに対し邪険に振舞うことはありませんでしたが、積極的にブルーと関わろうという者達もおりませんでした。

…そう、目の前の少年を除いては。

ジョミーは小さな頃から好奇心旺盛な子供だったのですが、皆が寄り付かないブルーの家のある一角に一人で探検にやってきてブルーと出会い、それから時折ブルーの顔を見に来るようになったのです。まるで太陽の光を一杯受けて咲き乱れる向日葵のように真っ直ぐに育ったジョミーに、いつしか少しずつですがブルーも心を開くようになりました。普段は家の中に閉じこもって一人で本を読んだり文章を書いたりすることを好むブルーですが、ジョミーの姿をたまに見かけることが密かな楽しみとなっていたのです。

よくよく見るとジョミーはなにやらよそ行きの服を着ています。どうやら父親のネクタイをしているようなのですが、慣れない手つきで自分で結んだものか、随分とおかしな締め方になっていました。おまけに曲がっています。自分なりに結婚を申し込むのにあたって一張羅を着てこなくては、という気持ちがあったのでしょう。全く純朴で素直で可愛い子です。村の人々とあまり関わらないようにしているブルーでしたが、他の人と分け隔てなく自分に接してくるこのひたむきな少年を結構気に入っておりました。ここで無碍に突き返せば、このいたいけな少年の心に傷を残すことになるのではないでしょうか。ブルーはしばらく悩んだ末、適当にジョミーに話を合わせることにしました。良く考えてみれば、なにせ子供の言うことです。真剣に受け取るほうがどうかしているのです。

素早く考えを巡らせた末、ブルーは今度はジョミーを納得させるために違う方向から説得を試みることにしました。

「あのね、ジョミー。気持ちはありがたいけど、よばいもけっこんも君がもっと大人になってからね。もっと背が伸びて、ちゃんとした一人前の大人になってからそういうのはするものだから」
「本当?僕がもっと大きくなったら、僕をブルーのおよめさんにしてくれるの?」

(およめさん…???)

困惑するブルーを尻目に、キラキラと目を輝かせてジョミーは喜びます。どうやらジョミーは色々と更に根本的に間違っているようです…。ブルーは内心可愛いなあ、とこっそり笑みを零しますが、心の底から大真面目な少年にそれを知られてはなりません。ブルーもあえて真面目な顔を作って言いました。

「ジョミーは僕のおよめさんになりたいの」
「うん!それで毎日ブルーのご飯を作るんだ」

(なるほど、それでおよめさんというわけか。いちいち言うことが可愛いなぁもう)

ブルーもさすがに苦笑い。ブルーは確かに食が細い上に料理はあまり得意とは言えず、もっときちんと食べないと駄目だと子供のジョミーにいつも叱られているのです。大真面目にとんちんかんなことを言う少年は、まだ包みを差し出したままです。やはりここは受け取ってあげるべきかと、ブルーはジョミーの差し出す包みを受け取ると、開けてみました。中からは小さな赤飯のおむすびが三つ入っておりました。姉用の赤飯の残りを、こっそりと自分で握り飯にして持ってきたのだということです。そんな心遣いを聞いて、嬉しくない人がおりましょうか。そう、たとえ認識が色々と間違っていたとしても…。

「ありがとうジョミー、とっても美味しいよ」
「本当?」

ブルーはジョミーの気持ちに応えるために、ジョミーの目の前で赤飯のおむすびを食べて見せました。それは本当に、ブルーが今まで食べたおむすびのどれよりも美味しかったのです。そんなブルーをジョミーはとても嬉しそうな顔で見守っておりました。

「約束だね!僕が大きくなったらブルーのおよめさんにしてね」
「…そうだね、約束するよ」

軽~い気持ちで答え、いたいけな子供の頭を撫でるブルーでした…。




「…覚えてるよね?」
「そんなの知るもんか。まさか君がこんなことをするなんて…」

情事の汗がいまだ引かぬ身体を布団の上に横たえたままぐったりとブルーは答えました。

「でも、貴方も抵抗しなかったじゃない」
「大体君が僕のおよめさんになるとかいう話じゃなかったのか。なんで僕が下の立場なんだ、おかしいじゃないか」
「ああ、やっぱり覚えてるんだ、あの日のこと」

やぶへびの台詞に自らぐっと詰まってしまったブルーの額に、ジョミーが口付けます。あれから一体何年経ったのでしょうか、ブルーの前に赤飯の握り飯を差し出した少年は今では立派な美青年に成長しており、自分の傍らで同じく一糸まとわぬ姿で横たわりながら優しくブルーの髪を梳いてくれておりました。あんなに細かった子供の体が、今ではすっかり逞しくなり大人の男の体つきです。何も覚えていないなどと真っ赤なウソがばれたブルーは気まずくてジョミーから目を逸らします。

「だっていつブルーが夜這いに来てくれるかってずっと待ってたのに、ブルーがちっとも来てくれないから」
「子供の話を本気に取れっていうほうがおかしいだろう!」
「僕はいつだって本気だったよ。貴方が来てくれないから僕が貴方のところを訪れることにしただけだけど。何か問題だった?」

くすくすと笑いながら、悔しげに顔を背けるブルーをしなやかな腕が抱き込みます。そう…ブルーはついにジョミーに夜這いをかけられてしまったのです。そもそもあんな夜更けに気軽に玄関の扉を開けてしまったのが間違いだったのです。自分の家を訪問する村人は殆どおらず、どうせジョミーだろうとたかをくくっていたのが失敗だったのです。最近ジョミーはあまり顔を見せなくなり、ブルーとしてもちょっと寂しい思いをしていたのですが、勿論今となってはそんなこと認めたくもありません。ジョミーが育つにつれてますます輝くように美しい青年へと変化していくのを見、ドキドキしていたなんて口が裂けても言いたくありません。自分を優しい目で見つめてくれるジョミーに時折見蕩れてしまっていたのをジョミー本人に勘付かれていたなどとは、ブルーは勿論知る由もありませんでしたが。

そういうわけで久々にジョミーに会えると、いそいそと期待しながら玄関を開けたブルーの目の前に立っていたのは確かにいつになく真剣な表情をしたジョミーだったのですが、

「あのときの約束を果たしてもらいに来ました」

と言うなり、ブルーは何の返事も出来ぬままに抱きかかえられ、寝室に連れて行かれてしまったのです。あまりに突然でブルーはロクな抵抗も出来ずじまいでした。それに、ジョミーのキスはそれはそれは上手で、ブルーはまるで全身が蕩けてしまったかのように体中から力が抜けてしまったのです…。自分にのしかかるジョミーがいつの間にかすっかり成長していて「男」の体をしていたことに感心しているうちにあんなことやこんなことをされ、気づく余裕も無い間にジョミーに貫かれ、あまりの気持ち良さに自分を抱くジョミーの腕にわけもわからぬままにしがみついて乱れまくっていた…なんてとてもいえません。まあブルーが何も言わなくてもきっとジョミーには全て見られていたに違いないのですが…。

それなのに、黄金色の髪を揺らしながら、ブルーを翻弄した青年はブルーの手に優しく口付け、またもや言語道断な台詞を吐くのです。

「ずっと大事にしますから、僕を貴方のおよめさんにしてください」
「…それ、どこか順番が違わないかい。いや、順番だけじゃない、何もかも間違ってる。大体君は昔から色々と間違った子だったんだ、そもそも君は…」

年上のプライドが邪魔をして素直に頷けないブルーでしたが、それを勝手に了承の意と解釈したらしいジョミーは、笑いながらそれはそれは嬉しそうにブルーを抱きしめてくれました…。


めでたしめでたし☆
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