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ASIAの独り言

在米ジョミブル者の独り言。全て自己責任でお読み下さい。
愛の妄想劇場:シャングリラ・フラワーズ(3)
妄想成分がドンドコ増えてまいりました(笑)考えれば考えるほどじょみさんが異様にイイコさんになってゆきます。ちょっと嘘くさいかしらね~と思いながらも、そんな素直さも若さの特権だと思うことにいたしました。じょみさんは癒し系。妄想ってなぁね、そんなもんですよね…(^。^)

さてさてお花屋さんの続き、↓始まり始まり~♪(^。^)ノ☆



カランコロ~ン♪

不器用なブルーがなんとかジョミーの手伝いを出来るくらいにまでなってきた、そんなある日。そろそろ店じまいという時間帯、いつもどおり軽やかなベルの音と共に入店してきたのは、ショートカットの優しそうな女性と小さな男の子の親子連れでした。やはり馴染みの客らしく、ジョミーは満面の笑顔で迎えます。ブルーは床を掃きながら、その様子を眺めました。

「いらっしゃいませー!」
「じょみー、お誕生日おめでとう!」

赤い髪の男の子は、そう言うとジョミーの足元に駆けつけて、その小さな腕を広げ、屈んだジョミーに抱きつきました。母親の方はちょっと苦笑い気味です。

「忙しいところごめんなさいね、トォニィがどうしても今日はジョミーに会いに行くんだって聞かなくて…」
「いいんだよカリナ、わざわざ来てくれてありがとう。ユウイは元気?」
「ええ…今日は残業だって言ってたけれど」
「ジョミーこれ、プレゼント!ジョミーの絵を描いたんだよ」
「へぇ~よく描けてるね、ありがとうトォニィ」

嬉々として幼稚園での出来事を話すトォニィ、トォニィに相槌を打ちながら合間にカリナとお互いの近況を報告しあうジョミー。なんとも微笑ましい光景です。どこかブルーはとても眩しい気持ちでジョミーを眺めていました。

「へえ、ユウイが昇進!よかったじゃないか、おめでとう」
「そうね…でもあの人あまり押しも強くないし、気が弱いところがあるから大丈夫かしら」
「ああ見えてもユウイは結構しっかりしてるから大丈夫だよ。ってわけで、昇進祝いにこちらのブーケなんかどう?今日が最後だからオマケしとくよ♪」
「あら、ジョミーったら商売上手ね。だけど今日はもともとそのつもりだったから丁度よかったわ」
「えへへ、毎度~♪」

照れくさそうにジョミーが頭を掻く様子を微笑ましく眺めるブルーです。と、カリナと呼ばれた女性はふとカウンターの中に立ち尽くしたままのブルーに気づきました。

「…あら、こちらの方は?新しいバイトさん?」
「あ、紹介が遅れたね。カリナ、こちらはブルー。うちの店に研修に来てくれているんだ。ブルー、こちら、僕の幼馴染のカリナです」
「よ、よろしく」
「こちらこそ!ここの近所に住んでらっしゃるの?」
「あ、いえ…今はウィークリーマンションで、アパートを探しているところです」
「そうなんですか!ダウンタウンは便利だけれど、やっぱりちょっと高いですものね…西の方なんか見てみられました?静かな住宅地が多くて、住み易いところですよ」
「ねえじょみー、僕また背が伸びたんだよ!」
「トォニィは凄いなー、どんどん大きくなるね」

まるで以前からの知り合いのようにスムーズに会話に入っていけたことに、ブルーは内心非常に驚いていました。何故ならブルーはビジネスの上での交渉には大変長けていたのですが、こと何の利害関係もない相手との日常会話は一番苦手としていたところだったからです。しかしこれは別にブルーの対人スキルがいきなりアップしたというよりは、ジョミーの店の醸し出す空気に後押しされてのことのように思えました。何故でしょう、ジョミーがそこにいるだけで、なんだかその場の雰囲気が花が咲いたように明るくなるのです。まだ随分と年若いというのに、ジョミーは確かにこの店の顔であり、主でした。シャングリラ・フラワーズの店舗で堂々トップの売り上げを叩き出すのにふさわしい貫禄を、生まれながらにこの青年は持ち合わせていたのです。しかしきっとジョミーはビジネス戦略だの売り上げだの、多分殆ど意識したことなどないのでしょう。ジョミーはあくまでもジョミーでした。彼はただそこに存在していて、毎日真面目に自分に与えられた仕事をこなしているだけなのです。

それに引き換え、ブルーはどうでしょう。確かに祖父の花屋を引き継いで、ビジネスとして成功させました。小さな街の片隅の花屋の一軒に過ぎなかったシャングリラを、全テラにその名が轟くまでに大きくさせました。しかし…それは本当に祖父の望んでいた形だったのでしょうか?ブルーは考え込まざるを得ませんでした。ビジネス戦略として、自分の取った方法が間違っていたとは思いません。しかし、これからのシャングリラの方向を考えていく上で、ブルーにはまだまだ足りない部分があるのではないかと、ジョミーの姿を見るたびに思うのです。



カリナとトォニィがミニブーケを手にして嬉しそうに帰っていった後も、ブルーは店の床を掃きながらなんとなくぼんやりと考えておりました。

「…ブルー?」

はっと気づくと、ジョミーがとても心配そうな顔でブルーを見ています。どうやら何度か声をかけてくれていたようなのですが、全く聞こえませんでした。慌ててブルーは無理に笑顔を作ります。

「あ、ごめん、ぼんやりしていて…それにしてもジョミー、今日が誕生日だったなんて初耳だよ。おめでとう。あんな小さな子にまで誕生日を覚えていてもらえるなんて、君は本当に凄いね」
「ああ…トォニィは僕に凄くなついていてくれて、毎年この日はどうしても店に来るんだ!って言って聞かないらしいです。やんちゃでカリナも手を焼いてるんですけど、可愛いんですよ」

そろそろ店じまいの時間です。ブルーは掃き終わった箒を仕舞うと、店の外に出ていた鉢を店内に動かすジョミーを手伝います。

「いや、その、そういうことじゃなくって…君は本当にこの街に溶け込んでいるんだなあって思ってね。みんな世間話をするように店にやってきては花を買っていく。帰るときの客の顔は誰も彼も凄く楽しそうだ」
「…」

なんとなくいつもと違う雰囲気を感じ取ったのでしょうか、まるでそこに誰もいないかのようなブルーの独白を、ジョミーはいい加減に聞き流すことはせず、話を真面目に聞こうと鉢を抱えたままブルーにきちんと向き直りました。

「僕は…僕の祖父もやっぱり花屋でね。僕は祖父の花屋に行った記憶は数回くらいしかないんだけど、祖父もやっぱりそんな人だった。近所の人がいつも入れ替わり立ち代わり、花を買いに来るというよりは、祖父に会いに来て立ち話のついでに花を買っていくんだ。みんなが店にやってきては、祖父から笑顔を分けて貰って帰っていく、祖父の店はまさにそんな店だったんだ。祖父が皆に提供していたのは、花だけじゃなかった。あの…なんだか僕、変な事を言っているかもしれないけど、分かるだろうか」
「はい」
「僕はそんな祖父をとても尊敬していたし、祖父は僕の憧れだった。…だけど、今の僕はどうだろう。目先の数字ばかりに捕らわれて、本質をすっかり見落としていたような気がするんだ」
「…はい」

ブルーが一体何の話をしているのか、ブルーの本当の正体を知らないジョミーには意味不明だったに違いありません。でも、ジョミーは小首をかしげた姿勢で律儀に耳を傾けます。

「どんなに規模を広げても、どれだけに収益を上げたとしても、僕は祖父の足元にも及ばない。君は自分が若いことをとても気にしているようだけれど、祖父が誇りを持って営んでいた、本来祖父が望んでいた店の形がここにある。君は…本当に、凄い人だね。それなのに、僕と来たら…こんな僕に、これから一体何ができるだろう」

なんだかブルーは、亡くなった祖父に無性に会いたくなって仕方がありませんでした。祖父の店を受け継いで、今までがむしゃらに突っ走ってきたけれども、優しかった祖父の笑顔をもう一度見たくなって、ツンと胸が痛くなりました。自分は今、堂々と祖父の前で胸を張って立てるだろうか。ブルーには自信がありません。

街角のささやかな花屋。それこそが祖父の目指していたものでした。まさに祖父の志を持って生まれてきたようなこの青年に、祖父の作った店の看板を掲げてもらえることがどれほど幸運なことか。それに引き換え自分は…この店舗に研修に来てからというもの、毎日ブルーは自問自答を続けていたのです。ブルーは別に答えを求めていたわけではありません。しかし、自分の今の心境を誰かに言わずにおれなかったのです。他人に自分の思いをここまで赤裸々に晒したことは、ビジネスパートナーであり従兄弟であるキースを含め、今まで一度もありませんでした。それなのにジョミーの前だとこうして自分をさらけ出さずにはいられません。ジョミーは何か魔法でも使えるのではないかとすらブルーは思ってしまうのです。

ジョミーは何も言わずにブルーの話を聞いていてくれましたが、ブルーが黙り込んでしまうと、何か思うところがあったらしく、やっと口を開きました。

「ひょっとしてブルー、自分がこの仕事に向いてないとか思ってないですか?」
「え、う…ん。だって、君もそう思うだろう?第一僕は不器用だし、客相手にも君みたいに上手く喋れないし」
「そうかなあ…僕、貴方には素質があると思いますよ」
「え」
「だってほら、今その鉢の抱え方を見て下さい」
「?」

とても間抜けなのですが、そうジョミーに言われてブルーは初めて、ジョミーもブルーも鉢植えを抱えたままだったことに気づきました。それほど重いものではないので良いのですが…しかしその鉢植えがなんだというのでしょう。

「ブルーが鉢植えを移動させるときは、いつだって花の咲いている方向を外側に向けて抱えてますよね。花がつぶれたりしないように。サムなんか配達係のくせに、最初は何度注意してもそういうのは気にしないですぐに忘れちゃうタイプだったもんで、苦労したんですけど…貴方には何も教えなくても自然にそうしてる。そうやって無意識に、ちゃんと花のことを考えてるんですよ、ブルーは」
「…」
「向いてないって思っているのは貴方だけじゃないかなあ。僕、貴方が鉢植えに水をやったり、切花の水切りをしているのを見てましたけど、確かに手先はまだおぼつかないけれどいつもとても花に気を使っているのが分かりますよ」
「…」
「手先の技術は練習すれば誰でも身に着きます。でも、ブルーにはこの仕事に向いていると僕は思う。天国のお祖父様も、喜んでると思いますよ」
「そう…だろうか…」

ジョミーは自分が抱えていた鉢を棚に下ろすと、エプロンの下からハンカチを取り出してブルーに向かって差し出しました。

「うん、貴方はとても頑張ってると僕は思います。だから、泣かないで」
「…え?」

慌ててブルーも自分の鉢を下ろして目の下を擦ると、確かにそこには濡れた感触が残っていました。一体自分はジョミーの前でいつから涙を零していたのでしょうか。

「ああ…土が着いちゃいましたよ、動かないで」

どうやら鉢を持ち上げたときに手に多少泥が着いたようで、頬を擦ったときに顔に着いてしまったようです。ジョミーは手にしたハンカチで、ブルーの目の下を丁寧に拭ってくれました。お互いの息がかかるほど近い距離で、ブルーは急になんだか物凄く恥ずかしくなって、慌ててジョミーに見とれていた視線を床に落とします。同時にブルーはかっと頬が赤くなるのを感じました。

「はい、綺麗になりましたよ」

ブルーはなんだかとても焦ってしまって、ジョミーの手から涙と土で汚れたハンカチを奪い取るように取り上げてしまいました。一瞬失礼だったか、呆れられてしまったかとブルーは内心ヒヤリとしましたが、ジョミーは全く気にする様子もありません。

「あ、あの、その、ごめん…いや、ありがとう。あの、洗って返すから」
「どういたしまして。弟や妹達の世話で慣れてますから」

ジョミーはハンカチを握り締めるブルーに向かってにっこり笑うと、まるで何事もなかったかのように店の扉のサインを「本日閉店いたしました」に替えました。なんだかブルーは急に帰りたくなくなりました。ジョミーの存在があまりにも暖かくて、贅沢を言えるならばもう少しだけ彼の存在を傍に感じていたかったのです。ですが、そんなことを勿論言えるわけがありません。なんといっても今日はジョミーの誕生日なのです。誰か大事な人達と、それこそ彼女と過ごすかもしれないのです。大輪のひまわりのような…いえ、それこそ太陽のように周囲を暖かくさせるこの若者と大事な時間を過ごしたいと思う女性は沢山いることでしょう。

カウンターのレジの中身を確認して鍵をかけると、しかしジョミーは突っ立ったままのブルーに向き直りました。

「ブルー、今日はこれから何か予定はありますか?」
「え?いや…部屋に帰るだけだけど」
「僕、これから花の配達に行くんですけどよかったら一緒に行きませんか?一人で行くより二人で行くほうが楽しいですし」
「あれ?配達はサムの仕事だと思ったけれど」
「ええ、そうなんですけど、週に1,2回くらいは配達の仕事を僕用に残しておいてもらっているんですよ」
「残して…??」

ジョミーの言っている意味がよく分からなくて、ブルーは何度か瞬きを繰り返しました。じっと疑問の視線で見つめられ、ジョミーは照れくさそうに鼻の横を掻きました。

「僕、花を受け取って喜ぶお客さんの顔を見るのが好きなんですよ。だからたまには自分でも配達をしたいんです」
「え…」
「勿論普段は店がありますから、そんなに沢山は無理ですけど、週に1、2軒くらいなら店じまいの後に回れますしね」
「…君は…本当にこの仕事が好きなんだね」
「はい、天職だと思ってます」

配達だなんて、普通に考えたら面倒な仕事だというのに、ジョミーはそれを楽しみにしていてわざわざ取っておいて貰っているというのです。何もかもがブルーと違いすぎるその思考に、思わずブルーは絶句してしまいました。しかし、ブルーとて元々ジョミーともう少し一緒にいたいなと感じていたので、一体何の文句があるでしょう。配達の仕事というものがどういうものか経験しておくのも良いことです。渡りに船というわけで、同行することにしました。
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