FC2ブログ

ASIAの独り言

在米ジョミブル者の独り言。全て自己責任でお読み下さい。
愛の妄想劇場:シャングリラ・フラワーズ(4)
お花屋さんの続きです~。今回もひたすらほのぼのです。弟や妹の名前はいちいち考えるのが面倒くさかったのでみんな名無しです(笑)まあ普通にナスチルの皆様でも良かったんですが、トォニィは別に出しちゃったので…。読み返してみるとブル~様がじょみに惚れ込むだけの理由ばっかり一方的に書いてあるような気がするんですが、ブル~様だって自覚がないだけで絶世の美人ですので、じょみだってヒトメボレくらいは既にしちゃってるんじゃないかなっていう気もします。だってじょみさんですもの、ブル~様を愛しちゃうようにもうDNAレベルで刷り込まれているのですよ、恋に落ちるのに理由なんていらない!(笑)

てなわけで、続きは下から↓ドウゾ~☆





花の配達先は、年寄り夫婦の家でした。ジョミーがいかにも慣れた様子で呼び鈴を鳴らすのを、ブルーは少し離れた後ろから眺めます。庭は小さいながらもよく手入れされていて、色とりどりのチューリップが咲いています。まるでその家に住んでいる人を表すかのように、いかにも気の良さそうな初老の男性が呼び鈴に応えてドアを開けました。

「シャングリラ・フラワーズです。お届けものに参りました」
「おやおや、ジョミー君じゃないか。今日は配達かい?」
「はい!こちらがメッセージカードになります」
「どれどれ…おや、メガネはどこにやったかな。ハンナ、ちょっと来てご覧、ジョミー君がお花を届けに来てくれたよ」
「あらあら、いつもご苦労様」

どうも老眼鏡が手近になかったらしく、ジョミーが代わりにメッセージカードを読み上げてやっています。どうやら今日は老夫婦の結婚記念日のようでした。奥からは男性の妻らしき女性が現れ、綺麗な花束に大喜び。例に漏れず二人ともジョミーの顔見知りのようで、ひとしきり花の贈り主らしき夫婦の娘の近況などの話に花が咲きました。まるで本物の祖父母と孫息子のように、花束を囲んで楽しげに談笑しているその様子を、一歩下がったところからブルーはぼんやりと見つめておりました。花を贈られた老夫婦が嬉しそうな顔をしているのはともかく、ジョミーもそれはそれは嬉しそうに次から次へと笑顔が零れます。

たかが花の配達にこれほどの時間をかけるジョミーの姿勢を今後のビジネス戦術として生かせるかといえば、会社の方針としては効率が悪すぎると言えるでしょう。しかし、今のブルーが学ばなければならないのは、多分そういうことではないのです。効率が悪かろうがなんだろうが、これがジョミーのやり方で…。経営者としてではなく、一個人として、ブルーはジョミーから目を離すことが出来ませんでした。

どうしてジョミーはいつもこんなに幸せそうなんだろう。どうしてこんなに沢山の幸せを他人に分けてやれるのだろう。ブルーはそんなことを思いながら、目の前の暖かい情景を目に焼き付けていたのです。


是非とも中に入ってお茶を飲んでいけという老夫婦の誘いをやんわりと断り、たった一軒の配達が終わった頃には、そろそろ日も暮れかけようかという時分になっておりました。ブルーとジョミーは車の中に戻り、シートベルトを締めます。結構な時間がかかってしまったので、ジョミーは多少気にしているようでした。

「思ったより時間をとってしまいましたね、疲れませんでしたか」
「いや、構わないよ。ついてきたいと言ったのは僕だしね」
「久しぶりだったから、つい話し込んでしまって」
「君はいつも配達先であんな風に客と話し込んでいるのかい」
「え?…ええ、あの、まあ大体…すみません、確かにプロとしてはあまり褒められた態度ではないかもしれませんね」
「いや、別にそんなことは思っていないよ。ただ、花の配達と聞いてイメージしていた感じとは少し違っていたなと思って。ああ、勿論良い意味でだけどね」
「そうですか?お店に花を買いに来る人達は当然それが目的で来るわけですけど、花の配達というのは大体本人が予想もしていないときに花を受け取ることが多いから、また一味違った楽しさがあるんですよね」
「そういうものかな…うん、君を見ているとそんな感じがする」
「だから僕、サムはいいなあっていつも言ってるんですよ。花を貰って喜ぶ人の顔を毎日見られるわけですからね」
「そうか…僕は今までそんな風に考えたことはなかったな。君は本当に他人に幸せを分けてあげることが好きなんだね」
「でもそれは勿論僕の力とかじゃないですよ。誰かに花を贈りたいという気持ちとか、花を受け取って嬉しいなと思う気持ちとか、それは僕じゃなくて花を買ったり貰ったりする人の気持ちでしょう。僕はただその仲立ちをしているだけだけれど、そのやりとりを目の当たりにしているだけで僕も幸せになるんです。だから僕が自分で受け取った幸せを他人に分けてあげるお手伝いをしたいんです」
「…」
「だから僕、この仕事が好きなんですよ」

眦を下げながら語るジョミーに、返す言葉もなく頷くだけのブルーでした。自分はそのような考え方をしたことが一度もない…それはブルーがもともと他人とのやりとりが苦手だからということもあるのですが、他人の気持ちを推し量る力が自分にはどれほど欠けているものか、ブルーは考え込まずにはおれませんでした。この若者から学ばなければならないものがあまりにも多すぎて、ジョミーがひたすら眩しく見えるばかりです。

と、今度はジョミーがなんだか様子を伺うような表情で改めてブルーに向き直ります。

「あの…ブルーはこの後何も予定がないって言っていましたよね」
「?…ああ、何も用事はないけれど」
「あの…いきなりですけど、もうこんな時間ですし、もしよかったら僕の実家で夕食をご一緒にいかがですか」
「君の実家?」

なんだか唐突なジョミーからの提案に、ブルーは大変驚きました。ジョミーは慌てて手を振りながら弁解するように釈明します。

「僕の誕生日はいつも実家に立ち寄って母の手料理を食べていくことになっているんですよ。それで、あの、今日は僕のせいで随分遅くまで連れ回してしまったし、お嫌でなかったら…」
「!え、いやじゃない、いやじゃないけれど…いきなり僕のような赤の他人が押しかけたら君のお母様だって困るんじゃないのかい」
「いつもはサムとか友人を連れて行くんで、母も結構慣れているんですよ。だけど今年はサムは急な予定が入ってて、他の友人も都合が悪くって」

心なしかジョミーの頬が少しだけ紅く染まっているような気がしましたが、多分それは眩しいほどに真っ赤な夕焼けに照らされてそう見えるだけなのでしょう。確かにこのままウィークリーマンションに帰っても何もすることがあるわけではなし、ブルーにとっては悪い話ではありません。それに、ブルーはお金はあってもいろんな意味でモノグサでしたので、どうせ食事はレトルトで済ませようと思っていたところでした。勿論そんなことがジョミーに知られたら「もっときちんとしたものを食べるようにしてください」などと叱られてしまうので、ブルーはそんなことは勿論口には出しませんでしたが。

「それじゃあ…お邪魔でなければ、お伺いしようかな」

やっとのことでぎこちなく答えると、ジョミーはなんだかとても嬉しそうな顔で頷きました。




ジョミーの実家は花の配達先からそう遠くない街の外れにある、小さなこじんまりとした家でした。この街の例に漏れず、夕日に照らし出される庭の花壇には色とりどりの花が咲き乱れています。この街の人達は、本当に花が好きなんだなあと思わせられる情景でした。だからこそ、街の皆はああやって頻繁に花屋に顔を出すのでしょう。玄関のドアには鍵がかかっておらず、ジョミーは何の躊躇も見せずに家の中に入っていきました。

「ただいま~!」
「ちょうど良かったわ、今まさにラザニアが焼きあがったところよ。あら、いらっしゃい!ジョミーのお友達?」

ジョミーの挨拶に応え、エプロンをつけた黒髪の女性がキッチンらしきところから顔を出します。ブルーの存在に気がついた女性は、笑顔でいそいそと玄関まで出迎えてくれました。

「あ、はじめまして…ブルーといいます。いきなりお邪魔してしまってすみません」
「あら、そんなことお気になさらず。私、ジョミーの母のマリアです。散らかり放題ですけど、ゆっくり寛いでいってくださいね。ジョミー、今日はサム君は来ないの?」
「今日は用事があるってさ~」
「そうなの、残念ね」

ジョミーの母親と名乗る女性は、ブルーが思っていたよりも思ったよりも若くて綺麗な女性でした。このような飛び入りの訪問にもどうやら慣れているらしく、いきなり現れた新顔にもまったく気にした様子もなくブルーと握手をすると、キッチンの中に滑るように戻っていきました。玄関の物音を聞きつけたのか、子供達が4人ほど、わらわらと現れると、ジョミーとブルーはあっという間に囲まれてしまいます。子沢山家族と言っていたし、きっとこの子達がジョミーの弟や妹達に違いありません。子供達は全く二人に対して容赦がありませんでした。

「ジョミー兄ちゃ~ん!誕生日おめでとう!」
「兄ちゃん、この人だあれ?」
「この人の名前はブルーっていって、僕のお友達だよ。ほら、ちゃんとご挨拶して」
「こんにちは!」
「お兄ちゃん、綺麗ね~女の人みたい!」
「え」
「コラ!失礼だろ!」
「ジョミー兄ちゃん、赤くなってる~」
「コイツ…待てっ!!」
「ブルーお兄ちゃん、ご飯はね、こっちのお部屋で食べるのよ。でも、その前にちゃんと手を洗ってからね」
「う…うん」

人懐こそうな子供達から矢継ぎ早に好奇心に満ちた言葉をかけられ、全くこのような事態に慣れていないブルーはあっけにとられてしまいました。からかわれた弟を追いかけてバタバタとその場から消えてしまったジョミーの代わりに、一番年下の妹らしき女の子が、ブルーの手を引いて夕食のテーブルへと先導してくれました。どうやら客に慣れているのは母親だけでなく、子供達も同様のようです。

「いただきま~す!」
「ほら、お客様が先でしょ!お行儀が悪いわよ」
「は~い」
「ブルーお兄ちゃん、ごめんなさい」
「いや、僕は君の後でいいよ」
「ダメなの!それが決まりなんだから。絶対譲っちゃダメだからね、ブルーお兄ちゃん!」
「え」
「ほら、そこ!喧嘩しない!」
「だって、姉ちゃんが僕の足を蹴ったんだ」
「あたし、そんなことしてないもん!」

夕食は押し合いへし合いでとても賑やかでした。いつもはとても年若く見えるジョミーも、更に年若い弟や妹達の前ではさすがに年長者の貫禄を醸し出し、あれやこれやと甲斐甲斐しく世話を焼いています。なるほど、自分のことをいつも心配してくれているのはこういった生い立ちの延長なのだなとブルーは微笑ましく感じました。決して煌びやかな食卓ではありませんでしたが、さすがジョミーの母らしく、質素ながらも並べられた料理はどれもブルーが今まで食べたどんな味気ない高級レストランの料理よりもブルーの胃を満たします。いつもは小食なブルーでしたが、子供達に薦められて、少しではありましたがお替りまでしてしまいました。デザートには、これもどうやら母親が焼いたらしいケーキが出てきました。さすがにこの年になってろうそくを吹き消したりするのは恥ずかしいというジョミーの希望で、バースデーソングはなしです。

「ブルーさんはこの街に引っ越してきたばかりなんですって?」
「ええ。いつもジョミーにはお世話になってます」
「この子ったら、最近電話をかけてくるときは貴方のお話ばっかりなんですよ。お世話になってるのはうちの息子のほうじゃないかしらっていつも心配してるんです」
「マム!」
「そんなことはないです。ジョミーはしっかりしてるから、見習いの僕は助けられてばかりですよ」
「それならいいですけど…この子、こう見えても結構抜けているところがあるから母親としては心配なんですよ。中学校に上がったばっかりのときだって…」
「マム、その話いったい何人に話したら気が済むの」
「いや、ジョミーのそんな話なら是非聞いてみたいな」
「…ブルーがそう言うんなら…」
「ブルーお兄ちゃん、このイチゴ食べて。マムはいつも一番おいしいイチゴをここに載せるのよ」
「でもこれはジョミーの誕生日ケーキなんだからそれはジョミーが食べるべきだよ」
「あ、イチゴくらいいいですよ。ブルーどうぞ」
「ジョミー兄ちゃん今日はかっこつけてる~!いつもはサム兄ちゃんと本気で取り合うくせに!」
「お前はいちいち一言余計なんだっ」


テーブルを囲む家族、思わずブルーの顔がほころんでしまうような暖かい会話、暖かい家庭。ブルーにも確かに昔は家族がいた筈なのですが、このような経験は全くありませんでした。今家族と言えるのは、従兄弟のキースのみですが、キースもブルーと負けず劣らず複雑な環境で育ってきたために、ジョミーの家族のようなはやりとりはキースとブルーの間では全くの無縁です。キースとブルーは別に憎みあっているわけではないし、今では共同経営者としてそれなりに親交を深めてもいましたが、いつもどこかお互い腹の底では何を考えているかわからない…本音を見せ合うような関係では決してありません。別にキースが悪い人間というわけではないのですが、お互いに気を許すような間柄の人間関係というものをひねくれた従兄弟同士は持ち合わせていなかったのです。



お腹一杯にジョミーの母の手料理をご馳走になり、夕食の後はジョミーの弟や妹達と大騒ぎしながらゲームに興じ、すっかり夜も更けた頃、ブルーは再度ジョミーの運転する車に揺られながら自分のウィークリーマンションへと送ってもらいます。狭い車の中でも他愛ないお喋りはとどまることを知りません。母親の手料理のレパートリーの多いこと、自分は頑張ってもなかなか母の味を真似できないこと、弟達や妹達が生まれたときのこと、忙しい母親の代わりに良く面倒を見たこと…。

ジョミーの話を聞けば聞くほど、まるで別の世界の話を聞いているかのようで、ブルーも更にジョミーの話の続きをせがみ、ジョミーも請われるがままに色んな話を続けました。話せば話すほどにジョミーの人柄の良さが伝わってくるようで、ずっと目的地に到着しなければいいのに、などとこっそり思ってしまうブルーです。ジョミーも同じように思っていてくれればいいのに、とも思うのですが、これだけ素晴らしい時間を共に過ごすことができたというのに、そこまで望むのは贅沢というものでしょう。

そうこうしているうちに、やっとジョミーの車がウィークリーマンションの前に停まります。

「今日は随分遅くまで引き止めてしまって、すみませんでした」
「とんでもないよ!僕のほうこそ、こんなに夜遅くまでお邪魔してしまって…こんなに楽しかったのは久しぶりだ。でも悪かったね、せっかくの誕生日だというのに何も用意できなくて」
「そんなこと…ブルーと一緒に時間を過ごせただけで最高のプレゼントです」
「え」

なんだかサラリと凄いことを言われたような気がしたのですが、もともと個人的な会話には疎い自分のこと、自分が勝手に意識しすぎなような気もして、ブルーは何も答えることが出来ませんでした。なんとなく返事に困っていると、ジョミーのほうが気を使ったのか、話題を変えてくれました。

「週末は何か予定があるんですか?」
「え?あ、その、まあ…そうだね」

なんだか随分と曖昧な返事になってしまいましたが、実際ブルーは今のところ週末が一番忙しい時間でした。研修の間、ずっと会長としての本来の仕事を放り投げて遊んでいるわけにはいきません。持ち込んだノートパソコンで報告書を読んだり、決済を下したり、勿論キース一人でなんとかなる案件も多いのですが、会長であるブルーが登場しないことにはどうにも回らない事柄は多かったのです。なんといっても、それなりに本来の仕事をきちんとこなしておかなければ、キースから一体どんなイヤミ攻撃を受けるものか想像すらつきません。ですので、せっかくの週末といえども予定はぎっしり詰まっているのです。

それ以上なんとも説明できずにブルーが言葉を濁していると、ジョミーはそれなりに納得したように頷きました。

「じゃあ、また月曜日に。土日の間も、ちゃんとしたものを食べてくださいね」
「う、うん、心がけるよ」

週末はきっと部屋を一歩も出ることも適わずに、レトルトで済ますことになるだろう…と考えていたブルーは、まるで心を読まれたかのようなジョミーの言葉にドキッとしました。しかしそんなブルーの心のうちも読み取ったかのようにジョミーはちょっとだけ苦笑いすると、なんとなく名残惜しげに「おやすみなさい」とだけ言い残して帰っていきました。ブルーがちゃんと部屋に入るのを確認するまで駐車場にいてくれたジョミーの気遣いも、ブルーにとって大変心温まるものでした。

ジョミーの実家で過ごした暖かい時間に比べると、何も迎えてくれるもののないウィークリーマンションの部屋は、なんとも簡素で空っぽで、冷たく感じました。今までブルーの頭の中を占めることといえば仕事ばかりでそんなことを感じたことはなかったのに、短期間でなんという変化でしょう。改めてジョミーの存在の大きさを見せ付けられた気分でした。

「…贅沢を言ってはいけないな…」

ブルーはもともと自分のために何かを望むということが殆ど無い人間でしたので、そんな淋しさなど頭を振って押し殺し、早速ノートパソコンを開けて仕事関係のメールに目を通し始めます。全てのメールに目を通し終わり、必要なものには返信をし。そうして全ての作業を終えた頃にはもう真夜中もとっくに回っておりました。これはジョミーに叱られそうだな、などと思ってしまうあたり、かなり重症です。せめて今週末はレトルトではなく、部屋から出られないまでもデリバリーか何かでもう少しまともなものを食べるように心がけようとブルーは決めました。まだ金曜日の夜だというのにもう月曜日が来るのを心待ちにしている自分の心を持て余しながら、ブルーは疲れたこめかみをさすりつつその夜は眠りについたのでした。
Comment
≪この記事へのコメント≫
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
Designed by aykm.