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ASIAの独り言

在米ジョミブル者の独り言。全て自己責任でお読み下さい。
「ドクター・スリープ」を観ました
映画「シャイニング」の続編である「ドクター・スリープ」がやっとレンタルに出たのでついに観ました。

すごい評判が良かったので楽しみにしてたんですが〜。

ですが〜〜〜〜。


以下ネタバレ感想↓


正直に言おう。

「薄い」

それが全体の感想…。

常々思っているのですが、キングの小説って映画には向いてないんですよね。じっくり時間をかけてやるミニシリーズの方が合ってると思うんですよ。「シャイニング」なんかもろにそうだったと思うんだけど、小説に忠実にやろうとすると失敗する、そんな気がします。シャイニングの映画はキューブリックがバッサバッサと原作のいろんな要素を切り捨てて、原作とは似ても似つかない、映画としてきちんと成立する作品として作り直したからああいう映画史に名前が残るような名作になったわけだけどさ。今回は多分頑張って原作をリスペクトしようとしたんでしょうね。で、おそらくその結果なんか薄かった(ーー;)


ざっとあらすじを書くと、映画「シャイニング」から30年後、アル中のダニーはシングルマザーからも金を盗むようなクズになり、これはさすがにいかんと酒をきっぱりやめて新しい土地で一からやり直すことに。そして同じ時期、ダニーと同じ「シャイン」能力を持つ少女アブラが他人の「シャイン」能力を盗むことで長い命を生き続けるカルト集団に付け狙われ、ダニーはたまたまテレパシーが通じ合ったアブラを助けてカルト集団をリーダーを除いて全滅させることに成功。残りの一人がまだ追ってくるので、ダニーは自らのトラウマであるオーバールックホテルに逃げ込んでカルトのリーダーを迎え撃つことに。リーダーを倒すことに成功はしたが、自らの中に封じ込めていた霊(?)を解き放ったことで逆に自分が乗っ取られ、危ないところだったがダニーは力を振り絞ってボイラー室に行きオーバールックホテルを焼く。焼け落ちるホテルと運命を共にするダニー、アブラは助かったけど時々追いかけてくるホテルの幽霊を封じ込めたりしてて、ひょっとするとまだ世界のどこかにシャインを使ったカルト集団がいるかもしれませんね。終わり。


うーん…………。

以前どこかで読んだレビューでは、今回の映画監督さんは原作も映画もどちらもリスペクトした内容にするような話だったんですが、まあこの映画は全体的に映画リスペクトでしたね。ミニシリーズだとハロランは生き延びたけど映画では死んじゃってて、一応今回の映画に出演するハロランは死んでるようなイメージでしたからね。ただシャインの力によって、ハロランは生きてるけど遠くからメッセージを送ってるんですよとか、まあ映画の時点でハロランは結構な年だったから、ホテルで死ななかったとしても老衰や病気で死んでたかもしれませんけどね。30年の間に母親も亡くなったことになってたし。

あとぶっちゃけハロラン役の人も母親役の人も、シャイニングの俳優さん達に比べるとだいぶ薄かったですね。以前の俳優と顔が似てるってだけで特に個性がなかった気がする。

Wikiを読むと、ダニーがアル中になったのは自分のシャイン能力を抑えるためって書いてあったんですけど、映画の中ではあまりそれを読み取れなかったな〜。そもそもダニーがアル中だってのは勿論設定としてわかるんだけど(AAミーティングに出席してるから)映画の中の描写でダニーがアル中だったっていう雰囲気をあんまり感じ取れなかったんですよね。シングルマザーと寝て財布から金を取るシーンがあったけど、あの直前に自分の財布を覗いてみたら空っぽで、そのシングルマザーが先にダニーから金を盗んでコカインを買ったんじゃないの?正直おあいこですよ。だからあそこでシングルマザーから金を取るくだりで「すげえクズ!これだからアル中は!」という流れに全くならなかったんですよね。そこらの若いチンピラでもそれくらいはやってるんじゃない?つまりダニーのどん底の人生の描写に全く説得力がない感じ。もっと華々しいレベルのクズ(?)にするべきだったんじゃない?というか私はAAミーティングに出席してるシーンで初めて「ダニーってアル中だったの?」って気がついたくらいなので…。アル中あるある描写も殆どなかったし、結構見かけもこざっぱりしてたし、アル中だから具体的にこのように人生転がり落ちてますよ的な示唆は殆どなかったですよね。アル中なのに綺麗過ぎ。

薄い!

あとね、肝心の題名である「ドクター・スリープ」なんですけど。ホスピスで役に立ってるのはぶっちゃけ猫で、ダニー自身は人の死を感じ取れてる感じもなかったし、死んでゆく年寄りにシャインを使ってどうこうしてたのはわかるけど、たったの一回「あなたはドクター・スリープだね」と言われたシーンがあるだけでさ。映画のタイトルにするほどの重みがあるようには全然思えなかったんですよね。勿論これは原作の題名が「ドクター・スリープ」だからなんですけど、おそらく原作ではこのダニーのホスピスで働く様子がもっと丁寧にえがかれていたんじゃないかと思うんですよ。だけど映画にしてみたらなんか軽〜いサクサクスナックのような…。

薄い!

そもそもこの映画のタイトルが「シャイニング」であるべきのように思えますね(ーー)だって前回の映画ではシャイン能力は全くどうでもよい扱いだったけど、この映画ではまさにシャイン能力がメインテーマだから。ドクター・スリープよりはむしろレッドラムとかでも良かったんじゃないかなあ。


一方カルト集団の皆様は、映画の始めの方でアンディという新たなるメンバーをスカウトするんだけど、あそこは全く不要なエピソードに思えました。そもそもシャインの生気が足りなくてみんなお腹をすかせている(?)のに、そこに新たな食い扶持を加えてどうする??むしろ新しいシャインを見つけたら早速捕らえて生気をゲットするのが自然だと思うんですけど…。アンディを加えて特にグループが得したことってないよね?このカルトの人たちがどういう暮らしをしているのかを新入りの目で辿っていくっていうやつをやりたかっただけなのかな?

しかも後の方でダニーがこのカルト集団のことを、お金も地位もコネも潤沢にあってあらゆることを自由自在にコントロールできる、みたいなこと言ってたけど、この集団キャンピングカーで国内をあっちゃこっちゃ流浪の民しながら毎日野宿してる、要はジプシーというかバックパッカー一歩手前の人達でさ、そんなに権力がある人達には全く!見えなかったんだけど…。長生きしてるってのも、あの一番の年寄りが死ぬ時だけ王や女王がどうたら言っててあ、随分長生きしてるんですねって思ったけど、そのあたりももう少し丁寧に描写してもいいんじゃないかなって思いました(ーー)


ここまでのプロットがすごくだる〜く感じたんですよね…。こういうの全部もっと短くても良かったんじゃないかなって思いました。特にカルト集団のくだり。カルト集団なんて、あんなの全員いらないから強いの三人くらいと対決するってのでよかったと思うんですよね。ミニシリーズでやるならもっとどんどん深く掘り下げていくのもいいと思うけど、映画でみんなが見たかったのはオーバールックホテルでの対決だったんじゃないかな。結局オーバールックの場面は映画全体の四分の一?五分の一?くらいしかなかったんだけど、オーバールックホテルにたどり着いた時の感動というかカタルシスをあんまり感じなかったんですよね。なんかやたらとあっさり着いちゃって。

ホテルに着いてからもさ、一応怖い・邪悪なホテルのはずなのに、「お帰りなさい」的な親しみまで感じちゃって、観客に一体どういう感情を持たせたかったのかもよくわかりませんでした。血が溢れるところとか、既にギャグの域に達しそうでしたよ。ホテルの描写がかなりブレてたと思うんですよね。

あとさ〜どうせメインの亡霊たちは今までダニーの心の中の箱に閉じ込められていたわけじゃない?わざわざホテルに行ってホテルの亡霊を起こすって、誰を起こすんですかね??ダニーにしまわれちゃってない、おこぼれの幽霊さんたち?ホテルまで行く必然性ってあった?しかも解放した霊達にまた乗っ取られるってどういうこと??ホテルに来たら急にダニーの力が弱くなっちゃったってこと??すさまじく意味がわかりませんでした。

それにバーで父親のジャックと語らい合うところもさ、何あれ結局父親とは全く分かり合えませんでしたってことですよね。そもそも親子の会話として成り立ってなかったし。ホテルに取り込まれた父親と会話出来たのはいいけどさ、結局悪霊ホテルから父親を助ける事も出来なかったバッドエンドですよね。キングは本当にそれで良かったんですかね(ーー;)シャイニングの映画であんだけ文句垂れてたなら、今回の映画ももっと文句言ってもいいと思うの!ここもダニーの元アル中でしたという設定が殆ど生きてなかったですよね。お酒を断ったその重みが全く感じられない。

ついでに言うならここで使われてた、若い頃のジャック・ニコルソンに似た感じの俳優さんも、薄かった…。映画シャイニングのキャストがどれもこれも飛び抜けて鬼才揃いだったってことでしょうけど。



それでさこの続編の小説って一体どんなんだったんだろうとちょっとウィキを見てみたら、そもそもドクター・スリープの映画化も原作のストーリーとかなり違う!!むしろ私的にはこちらの方が結構ショックだったかも…。具体的に原作とどこが大きく違うかというと:

★ダニーとアブラの母は異母兄弟。つまりアブラはダニーの(半分)姪にあたる
★父親の亡霊とは和解
★ダニーは死なず(ビリーも死なない)ハッピーエンド


全然違うやんけ!!!


それに加えてダニー&アブラとカルト集団との結構な超能力バトルがあるらしいのです。あ〜〜〜そういうのが見たかった、見たかったよ!今回ダニーがオーバールックホテルでやってたことっていったらボイラールームのスイッチ入れて、斧持ってうろうろしてただけ(しかもその斧でカルトリーダーに痛めつけられてた)そりゃさあ〜〜〜今の時代、サイキックバトルなんて流行らないかもしれないけどさ〜〜〜。あ〜でもあそこはかっこ良かったね、アブラが車で攫われた時にアブラと体を入れ替えて車を激突させたとこ。あ〜いうのをもっと沢山見たかったわけなのですが…。オーバールックホテルがあれほど囲い込もうとしたシャインの持ち主、ダニーの実力はもっと凄い筈なのに…。なんか映画でそういうのをメインに出すとまずい事情でもあったのか??もっとシャインしろよ!全身で輝けよ!!!と思ってしまいましたね。

それにしても結局ダニーとアブラが親戚だったってことは、やっぱり二人のシャイニング能力は父ジャックから受け継がれてきたってことで、キング的にはそういう不思議な力が遺伝子によって受け継がれるという説でOKなんですね。アブラの方は曽祖母もシャイン持ちだったってことで更に強化された模様ですが。

映画「シャイニング」での不満をあれだけ隠そうとしなかったキングですが、今度の映画の出来はこれで良かったの?本当に良かったの?(ーー;;)正直に言ってもいいんだよ?と問い詰めたい…(ーー;)

キングの小説って結局のところサイキック能力を持った主人公そして善悪のバトルみたいなプロットが多いんですが、映画化となると何故かそのキングらしさがズッタズタに切り刻まれてしまう、なんでなんですかね。そんなに時代にそぐわないストーリーならなぜ毎回懲りずにいちいち映画化するのか…。



ま〜〜〜〜そんなわけで…。

奇しくも私と映画の好みが割と似ている宿六も「ガッカリな出来だった…」とかなり失望しておったでございますよ。むしろこのドクター・スリープももっと原作に忠実にミニシリーズ化してほしいな〜。
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