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ASIAの独り言

在米ジョミブル者の独り言。全て自己責任でお読み下さい。
愛の妄想劇場:オークション後編・甘口版
(拍手レスはまた後日にでも)おおまかに二種類考えたオークション妄想の後編ですが、今回は甘口版です。キースがかなり「普通の人」なんですが、ちょっとサムとかを据えるには設定が設定なので、まあ普通に生まれて普通の人間に育てられたキースならこれくらい普通でもいいだろうって事で納得してくださいませ~☆


さてさてそうしてブル~様に引き取られることになったジョミーです。いきなり「今日からここに住むことになったジョミーだ」と12歳の男の子を連れ帰ってきたブル~様に勿論家の者達は驚いたわけですが、変わり者の主人のすることですから勿論文句などつける者はおりません。ブル~の執事、ハーレイはシン家の執事と懇意にしていたので、シン家の一人息子がどうなったのか少々気にしておりました。なのでジョミーを引き取ることになってハーレイはむしろ喜んでいたくらいです。十億は確かに大金ですが、ブル~様は前述の通り大金持ちの上、貴族にありがちな散財というものを一切せず自分の為にお金を使うということが全く無かったため、日頃小言の多いハーレイも何も言いませんでした。

ジョミーは連れてこられた最初のうちこそ、毛を逆立てたネコのように警戒心丸出しではありましたが、自分を買っておきながら虐待のような真似ひとつするでもなく、ジョミーの生活環境を何もかも整えた上で驚くほどにほうっておいてくれる、そんな変わり者のブル~に少しずつなつくようになりました。自分の両親と知り合いだったのか?と思えばそのような雰囲気も無く、そちらの趣味が?と思えば、趣味どころか仕事ばかりで男も女も浮いた話一つ無いブル~様。金持ちの道楽と済ませるにはあまりにも風変わりなブル~の決断。しかし恩返しはしないと…という気持ちから、子供ながらジョミーはブル~様の身の回りのことにせっせと気を使ったりするようになりました。何故ならば、ブル~様は仕事に没頭すると飲まず食わずで睡眠もろくに取らなかったりすることも多く、大変不摂生な暮らしを送っていたからです。しばらくブル~様の暮らしぶりを観察していたジョミーはそのブル~様の無頓着ぶりに呆れ返り、これは自分がちゃんと面倒を見てあげなければ…などと子供ながらに決心を固めちゃったりせざるを得ませんでした。上流階級の陰謀に巻き込まれて、子供ながらに人間の汚い面や裏切りを山のように見せ付けられたジョミーですが、仙人のようにそのような金持ち独特のヨゴレがないブル~様に段々なついてゆきます。いつかブル~の役に立ちたいと、執事的な雑務も進んで引き受けるようになります。

なにしろブル~様はとても食が細い上、ボケ老人の反対というかなんというか…食事を取っていないのに「僕はもう食べた」などと言い張ったりするのです。食べたといってもきっと出されたお茶についてきたビスケットを一齧りとかそんなんに決まっているのですが、相手は主人という立場上、強く言われればハーレイは引き下がらずを得ません。しかしジョミーは子供ですから、そんな遠慮はしないのです。

「僕はもう食べた」
「ブルー、嘘をつくのはいけないオトナですよ!」
「それは嫌いだからやだ」
「好き嫌いはいけません」
「じゃあそこに置いておいてくれ、後で食べるから」
「ダ・メ・で・す」
「ジョミーの意地悪…」
「そんな顔したってダメですよ。僕がお相伴しますから。一緒に食べたらきっと美味しいですよ」

それでも料理を目の前にして手を出そうとしないブル~様にもジョミーは負けません。

「はい、あ~んしてくださいねブルー」
「僕は子供じゃないよ!」
「ダダをこねる人は立派な子供です!恥ずかしいならきちんと召し上がってください。でないと、僕が一口一口食べさせてあげますよ」
「うぅ~」
ぱく。
「ね、美味しいでしょう?」
「…別に…」
「こっちの人参もちゃんと召し上がってくださいね♪今日はキッチンに頼んで柔らかく茹でてもらいましたから」
「…君は本当にずるい子だ…」

気難しいブル~様を相手に、この見事な勝利!長年の執事のハーレイにすら不可能なことを、ジョミーは子供という立場を上手く使い、子犬のような目とひたむきな表情で難なくやり遂げてしまうのです。大人相手には手厳しく、ビジネスの場では誰にも負けないブル~様ですが、子供のジョミー相手にはそうもいかず、なんだかんだ言ってジョミーの言うことならブル~様は聞くようになってしまいます。それに、ジョミーの言うことは、本当にブル~様がぐぅの音も出ないくらい正論で、ブル~様のためになることばかりなのです。おかげでジョミーがきてからというもの、ブル~様の体調は段々と良くなってきました。

「ブルー、もう夜遅いですからお休みになってください」
「まだこの書類が終わっていないんだ…」
「きちんと睡眠を取ってからのほうが頭も働きますよ。あと、飲みすぎもダメ」
「ちょっとくらい、いいじゃないか!」
「もう今晩は2杯飲んだでしょう。これ以上はダメです」
「あれもダメ、これもダメって、君は僕のおかあさんかい」
「そうですね、じゃあブルーが早く寝ないなら寝付くまで子守唄でも歌って差し上げましょうか」
「…寝る…」
「こちらの灯りは消しておきますね。今暖かいミルクをお持ちします」

なにしろ莫大な財産持ちですので、屋敷や財産の管理、はたまた家の召使などを束ねるハーレイはとにかく忙しいのです。ブル~様のこまごまとした身の回りのことまで手が回らないのが現状で、その上、このように気難しいブル~様といちいちやりあっている暇などありません。なので、子供ながらにもブル~様の身の回りの世話をしてくれる者が現れてハーレイは大助かり。なにしろジョミーは育ちが良く躾も良く、その上性格も素直でまっすぐで細かいところにも良く気がつくので、屋敷の召使達にもジョミーはすぐに慕われて可愛がってもらえるようになりました。学校でも成績は優秀、友人も出来たようだし、サッカーが得意ですくすくと成長。

そんな様子を見て、ブル~様は嬉しそうにうんうんと頷くばかり。

時折キースがブル~様の家に遊びに来たりもします(マツカを連れてくる日もあれば置いてくる日も)そんなときにさっとお茶を淹れたりするのも今ではジョミーの役目です。キースはジョミーに関するブル~様の言動がサッパリ理解出来ないので、頭を捻りながらやってきては、やはり頭を捻りながら帰って行きます(笑)キースはブル~が大金出して買ったからにはジョミーを使って(?)遊び放題なのだろうかとか色々思ったりするのです。しかしながら様子を見に来て見れば遊ぶどころか手も触れてない感じでキースには理解不能。キースは時々マツカを連れ歩いたりするのですが、じょみはまだ子供だからあまり連れ回せないし(学校もあるし)一体なんの得があるんだとキースは思うのです。時折「ジョミーはどうだ」と聞いてみると「ああ、あれはとってもいい子だよ。学校の成績も良いようだ」とキースの意図とは全然違う答えが返ってくる(笑)キースの聞きたいのはきっとジョミーのあっちの具合はどうだとか満足してるのかとかそういう方面なのですが…。寒い日に外から帰れば、さっと出てきてコートを脱がせてくれたり、暖かい飲み物を用意してくれたり、そんなことばかり嬉しそうに話すブル~様にやっぱりキースはため息をついちゃいます。

すくすく成長するジョミーですが、当然背も伸びてきます。出会った頃は背もブル~様の胸くらいしかなくて、ブル~様に手を引かれて歩いていたジョミ~です。ブル~様も、最初は可愛いなあ引き取って良かったなあ、僕には弟もいないから、可愛い弟が出来てよかったなあとニコニコしていました。コートも届かないからブル~様が自分で脱いでジョミーに手渡していたのですが、一生懸命背伸びしながら脱がせてくれるようになり、今では背伸びしなくてもコートを脱がせてくれるくらいまで背が伸びました。声も鈴を鳴らすようなボーイソプラノで「お帰りなさい、ブルー!」と呼んでくれていたのが、声変わりを経て、最近では低く落ち着いた声をかけてくれるようになりました。チェスを教えてあげたのだってブル~様です。最初はブル~様が全戦全勝だったのが、最近では五分五分になってきました。どちらかとうと子供の頃体の弱かったブル~様と違い、ジョミーはサッカーで体を鍛えているので、そこそこ体つきもしっかりしてきました。

可愛くて可愛くてしょうがなかった「弟」なのですが、最近一段と男らしさを感じさせるようになってきた風格に、ブル~は少し…複雑な気分というか…少しずつ色々と気恥ずかしくなってきました。たとえば外から疲れて帰ってきたりすると、バスタイムにお風呂の準備をしたりするのもジョミーの役目だったわけですが、以前はブル~様が入浴している間は当然のように傍に控えていたジョミーなのですが、最近ではブル~様のほうが何かと気恥ずかしく、隣室に追い出してしまうようになりました。

そしてジョミーが16歳になった年。

ある日いつものようにキースが遊びに来て、いつものようにジョミーがお茶を持ってきます。

「それにしても、随分と育ったものだな。あんなに子供だったのが…」
「そうだよ、すくすく育ってくれて僕も嬉しいと思っている」

ジョミーは自分のことなのに分を弁え、目の前でかわされる会話を聞こえないフリをしています。

「お前もそろそろ将来のことを考える時期だな」
「え…」

しかしいきなり自分に話を振られて、ちょっとジョミーはうろたえます。

「いくら恩があるといっても、いつまでもこいつに飼い殺しにされるのはお前だって不本意だろう」
「ちょっ…キース、飼い殺しだなんて人聞きの悪いことを言うのはよしてくれないか」

やんわりと口を挟むブル~様ですが、キースは全く構う様子はありません。

「将来何かやりたいことながあるなら今から考えておいたほうがいい。お前も仮にもあのシン家の元次期当主だ。こんな面倒な男のお守りで一生を終えるのもつまらんだろう。なに、金のことなら心配するな。お前にその気があるなら俺がこいつに全部清算しといてやる。お前ほどの逸材なら将来任せたい事業は幾らでもある。投資だと思えば金も惜しくないしな」
「キース!」
「…お茶のお代わりをお持ちします」

その場は下手に反論せず、さっと引き下がるジョミーです。いつの間にやらそんなソツのない処世術すら身に着けました。

「キース、いきなり何を言い出すんだ!」
「本当のことだろう?お前、奴を飼っているわけではないと言ったが、それなら自由にしてやったらどうだ。奴の血筋を考えたら当然だろう」
「そんな…」
「お前が何のつもりかは知らないが、あいつだって腐ってもシン家の後継者だ。いくら恩義があるからといって、いつまでも他人に傅く人生で奴が幸せだとでも思うのか」
「…」
「いつかは子離れしなくてはならない日が来るんだぞ、覚悟はしておけ」

全く反論できません。キースが帰ってからも、ブル~様はぐるぐると考えてしまいます。ぐるぐるしているうちに夜になったらしく、風呂の準備が出来たとジョミーが呼びに来ます。ぐるぐるジョミーのことを考えていたのに、よりによって風呂!しかしまあ丁度良いチャンスだと思って、ブル~様はいつものようにジョミーを追い出さず、湯船に浸かりながらジョミーに聞いてみることにしました。

「君は…将来はどうしたい?」
「ブルー?」
「キースの言う通りだと、僕も思うんだ。君を買い取…いや、君の後見人は確かに僕だけれど、僕は別に君を召使にしたかったわけじゃない。だから、将来君が独り立ちしたいと…いうなら、僕は助力を惜しまないよ」
「…」
「だから…君が何かやりたいことがあるなら、遠慮しなくてもいい。僕のことは気にする必要はないから」

自分で言いながら何故か少しずつ気分が沈んでいくのをブル~様は感じます。

「ブルー」
「なんだい?」
「僕がここにいると、ブルーの迷惑ですか?」
「え?…そんなことは、ないけど…」
「ご迷惑でないのなら…ここにいさせてください。僕は、ブルーの傍にいたいから」
「そんな…」
「僕は、貴方の傍にいて貴方を支えたいって決めたんです」
「…」

ジョミーの目をとても見ていられなくて顔を背けていたブル~様ですが、いつになく真剣なジョミーの声音についそちらを向いてしまいます。すると、ジョミーは子犬のようにつぶらな目でまっすぐブル~様を見ています。ますます身の置き所をなくすブル~様、いつしか頬が熱くなるのを感じます。こんな子供に見つめられただけで、一体何故…。

すると、バスタブの淵に置かれたブル~様の手を取られ、ジョミーがうやうやしく頭を下げたかと思うと…その白い手にそっと口付けられました。柔らかいジョミーの唇の感触に、ブル~様の全身が火がついたように熱くなり、あらぬところが熱くなってきちゃってたちあがって来ちゃったりします。(まずい…)しかもブル~様裸です!

「その…もう、いいから、下がっていいから、ジョミー。何かあったらまた後で呼ぶから…」

どうにもならないのでとにかくジョミーを下がらせることにします。ジョミーは逆らわずにブル~の手を離すと、一礼して下がりますが、その前に一瞬だけジョミーの視線がブル~様の全身をちらりと上から下まで走ったような気がしました。ジョミーは何も言いませんでしたが、退室するときのその口元がわずかに上がっていたような気がして、ブル~様はジョミーがいなくなってブクブクとお湯に沈んだりしてみたものです…。一体いつからあんなに大人な目つきをするようになったのか…。

その日からブル~様はジョミーのことをますます意識するようになりました。コートを脱がせてもらうとき、「今日は寒かったですか?」とかたわいないこと聞かれるときに背丈が並んできたもので耳元で囁かれるような感じになって、振り向くとジョミーの顔がブル~様の顔のまん前にあったりとかして、真っ赤になっちゃったりするんです。ジョミーはそんなブル~様の様子に気がついてるっぽいんだけど何も言わないでくれています。

煮詰まったブル~様は久々にキースを外に呼び出します。貴族の子弟達が息抜きに出かけていく高級クラブ、いわゆる「Gentleman’s Club」的なバー・ラウンジです。

ヤツからお呼びがかかるとは、なんとも珍しいこともあるものだと思いながら呼び出されてキースが行ってみれば、ブル~様は既に何杯か呷ったものか、結構出来上がっちゃってる様子です。開口一番、ブル~様に怒鳴りつけられちゃいました~。

「全部君のせいだ、どうしてくれるんだ!」

仕事以外では普段あんなに薄ボンヤリ…じゃない、冷静なブル~様のただ事でない様子に、キースはビックリです。一体何事が起きたというのか…。

「お、おいお前、大丈夫か」
「だって、ジョミーが、じょみ、が、いなく、なっちゃ、うぅ~」
「はぁ?」

ブル~様はどうやら酔っ払っているだけでなく泣いているようです(笑)明日は空から槍でも降るのだろうか、それとも大地震の前触れか。とにかくこんな親友を見るのは初めてで、少々キースは途方に暮れてしまいます。どうもブル~様はジョミーが自分の前からいなくなるという可能性に一切気づいてなかった様子で、これは自分はとんでもない地雷を踏んでしまったのではなかろうかとキースは今更ながらに後悔します(気づくのが遅すぎです!)しかしながら、これは良いチャンスではなかろうかとも思います。一体全体、ブル~がジョミーに対して何らかの感情を持っているのかどうか、本音を引き出してみるのです。天涯孤独なだけでなく、仕事人間で、自分のことに全くかまけることなく、ぼんやりしているようで無理ばかり重ねるブル~様をキースは憎からず思っていましたから、この際まだ子供でもジョミーのような人間がブル~様の傍にずっといてくれればキースも心配の種が一つ減るっていうものなのです。

「何を言ってるんだ。あいつが出て行きたいって言ったのか」
「そ、それは、言ってない…けど、絶対いつか、出て行っちゃうよ、巣立っちゃう…よ…うぅ~」

周囲の権力者達を尻目にぽんと十億出した男と同一人物とはとても思えん…キースはしみじみ思います。

「そ、それで、ジョミーに、聞いてみたら、ジョミーは、ずっと、僕の傍にいるって、いうんだけど、でも、でも、じょみーだってやっぱりいつか…だってまだ子供なのにもうあんなにイイ男なのに…うぅ…」

なるほど、奴のほうは心は決まっているわけだなとこっそりキースは納得します。なにしろキースがブル~様といるとジョミーの視線がグサグサと突き刺さってきてとてもイタイのです(笑)なのでキースはジョミーの秘めた想いに薄々気づいてました。

「ずっといるっていったって、ジョミーは、まだ、子供だし…」
「子供といったって、お前…奴は確か…16…だったか?それほどガキでもあるまい」
「あの子はいつまでも僕の可愛い弟だよ!」
「わかった、わかったからそうがなりたてるな…念の為に聞くが、お前、本当にジョミーを喰う気はないんだな?」
「そんなわけ…あるわけがないだろう、そんな…あんなに綺麗で、あんなに可愛くて、あんなにカッコよくて…僕なんかがジョミーを喰うだなんて…とんでもないよ!僕なんかが…ジョミーは、僕なんかに…僕なんか…ううぅぅぅぅ」

酒臭い息でノロケなんだかわけの分からないことばかりブツブツと呟きながら涙にくれるブル~様を前に、ふむ…キースは頭を捻ります。しかしそれだけではブル~様のこの荒れっぷりは説明がつきません。

「それでは、奴に恋人が出来たらお前、どう思う」
「…!!!それは…それは…喜んであげない…と…いけないだろう?あの子が僕の家にいるのは、僕が…あの子を…お金で買ったからで…」

キースは内心ヤレヤレと舌打ちします(--;)

「では質問を変える」

「お前はジョミーを喰いたくないんだな?」
「当たり前だ!そんなこと…第一、僕は…」
「それでは…俺がお前を喰ってやろうといったら…お前、どうする?」
「は?!?!何を言っているんだ、君、頭がおかしいんじゃないのか…」
「頭がおかしいどころか、正気も正気だ。酔っ払っているわけでもない男にも女にも興味がなくて、ジョミーを喰うつもりもないなら、いっそ俺がお前を喰ってやろうかと言っているんだ」
「!!!」
「お前は自分で気づいていないだけで顔も綺麗だし肌も白いし、俺なら経験もたっぷり積んでいるから優しくしてやるぞ」
「…キース!!」

なんだか会話の成り行きについていけないブルーをいいことに、キースは更に顔を接近させてしまいます。

「ジョミーなんかいなくなったって、俺が忘れさせてやるさ…」

勿論キースはマツカが大事ですし、本気じゃありません。が、ここは親友のために一肌脱いでやろうと思ってのことです。すると…。

:「…やだ!!いやだ!!!」

酔っ払いのくせに、凄い早業でブルーの平手がキースの横っ面に炸裂!キース、目が点!

「君にキスされるなんてごめんだ!僕は…僕は…ジョミーが…ジョミーじゃなきゃ、イヤだぁぁ!!!!」

酔っ払いが大トラになって大暴れです!なんだ、ちゃんと自分でも分かっているんじゃないかと呆れるキースですが、とりあえずこれで今までキースの最大の謎であったブルーの気持ちも確認できました。クラブのバーテンの冷たい視線を尻目に、キースは慌てて大泣きするブル~様を宥めます…。ようやく落ち着いてガックリとブル~様がカウンターに頭を乗せて大人しくなった頃を見計らって、キースは一服したくなりクラブのロビーに出てきました。お付の者はクラブの中に入れないので、ロビーにはお付の者用のラウンジなぞもあるのです。普段はマツカもちょこんとキースを待ってますが、今日はマツカは連れてきていません。今日は長い夜になりそうだ、とため息をついたところで、キースが到着したときには見なかった姿に気がつきました。

「…お前、来ていたのか」
「そろそろかと思いまして」

どうやらブル~が酔い潰れそうなタイミングを見越して迎えに来ていたようです。その気のつきように、内心キースは舌を巻きました。とても16歳とは思えません。

「…その顔、どうなさったんですか」
「あぁ…これは…奴にキスしようとして殴られた」
「…」
「からかっただけだ、本気にするな」

一気にその翡翠のような緑の目が鋭くなるのを、キースは牽制します。ブル~様に殴られてその上この目の前の忠犬まで敵に回すのはたまったものではありません。

「冷やしたほうがいいですね。後から腫れるかも…」
「いや、いい。それよりも、早く奴を引き取ってくれ」
「そのつもりで来ましたからご心配なく」
「…泣いていたぞ」
「え」
「ちょっとちょっかいを出してみたら、お前じゃなきゃイヤだと泣いて喚いて大騒ぎだった。さっさと連れて帰れ、周りが迷惑だ」
「…」

触らぬ神になんとやら、他の貴族達に遠巻きにされながら、零れたお酒にも構わず、カウンターに突っ伏して潰れている美人が一人。そっとその肩を揺さぶる者がいます。

「ブルー。ブルー、起きてください」
「じょみ…?置いて、来たはずなのに、なんで、ここに…いるんだい」
「迎えに来ましたよ。さあ、帰りましょう」
「いやだ…じょみ、なんて、きらいだ…どうせ、いなくなっちゃうくせに…うそつき…」
「はいはい」
「はいはいじゃなくて…」
「ブルー、幾らなんでも飲み過ぎですよ。だからいつもあれほど僕が言ってるでしょう。…よいしょ、と」

酔っ払いの主人を適当にあしらい、ジョミーは自分より少しだけまだ背の高い主人を抱え起こします。

「君と、なんか…帰らない、今日はここに泊まる…一人で帰れ…」
「それはダメ。ほら、ちゃんと歩かないとお姫様抱っこしますよ」
「…!それは、やだ…歩く…ちゃんと、かえる…」
「今日はブルーがご迷惑おかけしました。貴方もお気をつけて」
「ああ、さっさと連れて帰ってくれ、厄介だからな」
「マツカさんによろしくお伝えください」

こってりマツカに油を絞られそうだがな、とキースは苦笑い。

「じょみ…じょみ…うっうっ…」
「泣かないでブルー、僕はちゃんと迎えに来たでしょう?貴方の傍にいるでしょう?」
「…うっ…うっ…」

待たせていた屋敷の車に乗り込んでも、ブル~様は子供のように泣き続けます。全くこんなに泣き上戸だったなんてジョミーも驚きです。

「じょみ、行かないで…どこにも、いかないで…お金なんか…幾ら出してもよかったんだ…君を、どこにも行かせたくなくて…連れ出したくて…うっうっ…」
「ああほらダメでしょう、あんまり目をこすると腫れちゃいますよ」

ブル~様の涙をハンカチで拭いたりかいがいしく世話を焼きながらの帰途です。全くどちらが子供か分かりません。涙とかこぼれたお酒とかでぐっしょぐしょなので家に着くとお風呂ですよ。全くしょうがないブル~様ですね 。お湯を張ると

「じゃ、僕は隣で待ってますから…」

いつも通りに出て行こうとするジョミーですが、ブル~様の手がぐっとジョミーのシャツを掴んで放しません。

「ブルー、手を放して…」

ちょっと困った顔で言うジョミーですが、ブルーはダダコネます。

「やだ…行かないで、ここにいて…」
「でも…」
「いいから…」

確かに一人じゃ危ない(笑)のでしょうがなくじょみはブル~様の服を脱がせるのを手伝って、ブルー様が手を離してくれないものでバスタブの脇の床に座り込みます。押しも押されぬ上流貴族の当主が子供と手を繋いでお風呂とは…。しばらく黙ってブル~様はお風呂に浸かります。ジョミーも目のやり場がなくてちょっと困ってましたが、ふと目を向けるとブル~様の髪もなんだかお酒がついたのかなんなのかベタベタしてるようです。

「ブルー、髪を洗いましょうか、僕がやってあげるから…」
「ん…」

こくりとうなずく酔っ払いブル~様。まるで大人の男のように大きな手、長い指がブル~様の濡れた髪を梳きながら優しく洗ってくれます。

「ジョミーはずるい」
「え?」
「あんなに…可愛かったのに…いつまでも可愛いんだと…思って…いたのに…」

既に言ってることが支離滅裂です。今は可愛いと思ってくれていないんだろうか…ジョミーはそんなことを思ってこっそり溜息をつきます。

「いつの間に…こんなにカッコよくなって…きっと、いつか…いい人だって、できちゃって…」
「今流しますから、目をつぶっててくださいね」

酔っ払いのタワゴトを聞き流すオトナな16歳(笑)です。

「ちょっと上を向いて、しっかりつかまっててくださいね」

しかし流し終えてもジョミーの腕をがっしり掴んで放さないブルー様です。

「ブルー…?もう放してもいいですよ?」

銀色の睫に縁取られた瞼がゆっくりと開き、紅玉の瞳がジョミーを見つめます

「ブルー…?大丈夫?」

パシャ…と水音がジョミーの鼓膜を叩くのを聞きながら、ブル~の顔がどんどん接近してきて、ブル~様の濡れた唇がジョミの唇に押し付けられました。プツリとどこかでジョミーの理性の切れる音…。ブル~様の唇がジョミーの唇から離れ、一瞬だけジョミーはブル~様の潤んだ瞳を見つめ…次の瞬間には、自分の服が濡れるのも構わず、ジョミーは浴槽のブル~様に覆い被さり、その唇を存分に貪っておりました…。誘うように更に開かれるブル~の唇、誘われるがままにジョミーの舌はブル~の口腔内に入り込み、逃げ腰の舌を存分に蹂躙します。お湯でしっとりと濡れ、ほんのりと紅く染まった肌。 ジョミーは我を忘れ、ブルーの唇を貪り続けます。 「ン…」甘く鼻にかかったブルーの吐息…。

ひとしきりお互いの唇を味わった後、息をつきながら二人の唇が離れます。しかし唾液に濡れたお互いの唇が触れ合うほどに近い距離です。

「キースに、色々、言われて…でも、僕は…喰われるなら…君じゃなきゃ、いやだって…」
「…はい…」
「そのとき、気がついたんだ…僕は、きっと…ずっと、君に…でも、君はまだ子供だから…我慢しなくちゃって、ずっとおもってて…それで…」
「…はい…」

しっとりと光る唇に、優しく触れるだけの口付けを落とし、ジョミーが白状しました。

「僕も、ずっと我慢してたんですよ」
「え…」
「僕は、子供だから…大人になるまで待たなくちゃって思っていて」

全然気づかなかった自分は少々ニブイのではなかろうかと、そのとき初めてブル~様はこっそり思ったとのことです。しかし、目の前でちょっとだけ照れ臭そうに頬を染めてにこにこしているジョミーは、昔のジョミーそのままで、何一つ変わったところはありません。自分を見つめてくれるその優しい瞳も、髪を撫でてくれる手の仕草も、昔と一緒です。ひょっとして、自分が気づかなかったのは…ジョミーがずっと長いことず~っと変わらずに自分のことを想っていてくれたからなのかもしれません。そう思うと、ブル~様の胸はじぃんとしました。自分が自分の気持ちに気づかなかったばっかりに、ジョミーを長いこと待たせてしまった…そう思うと、謝りたい気持ちにすらなりました。

「我慢…していた?君が?」
「はい…」
「じゃあ…もう、我慢…しないで、くれ…」
「…はい…」
「抱いて、くれ…」
「喜んで…ブルー」
「ずっと、僕の傍にいて…」
「はい…」

オトナなのに時々とっても子供みたいで頼りなくて、自分がついていなかったら一体どうなってしまうのか分からない。そんな貴方の傍から離れられるわけがないでしょうと説教混じりに優しいキスを落とされ、真っ赤になって文句を言おうとしたブルーの唇は、笑みを含んだジョミーの唇に塞がれてしまいました…。

お・し・ま・い☆(^3^)
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