先日籐佳さんのチャットでちょっと思いついたネタです。話題が「昼メロ」だったんですけど、不倫とかは苦手分野なので、普通に(?)禁断の関係みたいな方がいいかな~って。そしたらねなるせさんが「以前ドラマで若夫婦の婿が姑に恋をするというのを見た」とおっしゃるじゃあありませんか。ほぉ!それでブル~だったら義母どころか義祖父とか義曽祖父ですね~なんて笑ってたんですけど、じゃあ例えば代々続く旧家の家長がブル~様で、跡取り婿のじょみと恋に落ちちゃうとかどうかしらみたいな発想で…。そんで籐佳さんが「夜の人格」がどうとかおっしゃるのでフヒヒ☆な妄想に。ちなみにタイトルは超適当につけたので内容と合っているかどうかははなはだ謎です。ちなみに時代は大正あたり??和モノ苦手なのになんでそんな時代にしたのかっていうとぶっちゃけエロの服装の都合です(笑)舞台設定の割に、名前が横文字ってどうよとか分かりきった突っ込みはお断りだ!あと終わりの方はいつもより更に超強引です。どっかで見た・聞いたような設定てんこ盛りですが、なんでも許せるっていう方のみ↓どうぞ~♪
時代は和装と洋装が入り混じる大正時代前後。ジョミーは幼い頃に両親を亡くし、色々な家をたらいまわしにされて育ちました。しかしそのような境遇にもめげることなくすくすくと素直に育ったジョミー。ある日14歳になったジョミーのところにジョミーの両親の遠縁の者の使いであるという男が現れるのです。どうやらジョミーの両親はある大層な一族の分家の血を引いているということで、急にその本家から引き取りたいという申し出があったというのです。その旧家というのは、とある島を代々治めていて、その地方では大変に栄えている一族だということです。
実はジョミーは幼い頃からひた隠しにしていた秘密がありました。ジョミーは普通の子供と違って、小さい頃から他人の考えていることが頭の中に聞こえてきたりするなど不思議な力が使えたのです。勿論他人に知られれば気味悪がられるだけなのでずっと誰にも内緒にしていたのですが、その遠縁の使いの者を名乗る男はそのジョミーの能力を何故か知っており、それでも引き取りたいという話でした。
ただしその本家がジョミーを引き取るに当たって条件が一つありました。現在16歳になるその一族の跡取り娘とゆくゆくは結婚し、一族の跡取りとなる子供をもうけること。まだたった14歳の少年のこと、いきなり決められた許婚の話に動揺しましたが、ジョミーは元々好奇心の強い少年であったので、そのおかしな申し出にますます興味が出てきたのです。それに、両親の顔すら覚えていないジョミーにとって、自分の親戚達に会ってみたいという気持ちも勿論ありました。その跡取り娘がどんな女性か知りませんが、そんなに性格が悪いとか醜女とかでもなければお互いの努力で添い遂げることだって可能であろうと、根っから楽観的なジョミーはそのように考えました。それに今厄介になっている家も、できればジョミーを早く厄介払いしたいという様子が垣間見えましたし、断る理由がなかったのです。
そしてジョミーは今まで暮らしていた村から遠く離れた離島へと旅立つことになりました。
孤立した島の割にはそれなりに栄えている様子の村があり、結構な数の人が住んでいるようでした。一族は大金持ちと聞いていましたが、村の者達はジョミーが今まで経験した暮らしよりも余程贅沢な暮らしぶりのように見えます。陸の孤島というからには余程田舎であろうかと思われたのですが、洋装の者も多く、ジョミーもこの島にやってくるにあたって、例の使いの者に連れられ、洋服屋でそれなりに一式洋服を仕立ててもらっておりました。ジョミーの「跡取り婿」の話は既に島中に知れ渡っているようで、ジョミーは島中の者達からじろじろと不躾な目で見られました。一族の跡取り娘とやらも早速面通しされました。自分より2つ上というその跡取り娘はニナといい、ジョミーが想像していたよりも明るくほがらかで気立ての良い娘で、若い者同士ジョミーとも気が合いそうです。ジョミーもこの娘となら結婚も悪くないかもしれない、などと思うのでした。
この一族には色々と面倒なしきたりがあるようで、跡取り婿として一通りのことは一族の家長の者から叩き込まれる予定と聞かされていました。このような閉鎖的な一族の家長というからには、どのような偏屈爺さんかと思いきや…本家の門をくぐり、家長の居室へと通されてジョミーは仰天しました。家長というのは、ジョミーより数年年上?と思われるような若者だったのです。この村は血が濃いのか、ジョミーやニナのように金髪の者が多かったのですが(和設定ですが仕方あるまい)、家長はまるで月の光を絹糸に織り込んだかのような美しい銀髪と、柘榴のように紅い瞳を持っていました。肌は白磁のように白く、そしてなにしろ…男というのが信じられない程に、ブルーと名乗る家長はとにかく美しかったのです。
「このような辺鄙な土地へわざわざ来てくれてありがとう、ジョミー」
品の良い仕立ての洋装がとても良く似合う家長はそう言うと、どこの馬の骨とも分からぬジョミーを優しい微笑みで快く迎えてくれました。今までに顔合わせを済ませた一族の他のどの者達とも全く違う雰囲気を、家長ブルーはまとっておりました。それに…これはジョミーのうぬぼれなのかもしれませんが、ジョミーはブルーと出会って、何か相通じるものをその不思議な力で感じ取ったのです。他の誰にもないものを家長と共有しているような不思議な感覚をジョミーは覚えました。
一族の跡取り息子として、さまざまなしきたりや決まりなどを沢山覚えなくてはなりません。自然とジョミーは家長と時間を過ごすことが多くなりました。ブルーは若く見えるのですが非常に何でもものを良く知っておりました。生まれてこのかた島を出たことがないのだと、外への憧れを口にしながらどこか遠くを見つめる紅い瞳に、ジョミーは胸の奥が疼くような気がしました。狭い世界で生まれ育ちながらあらゆる知識も豊富な上に教養もあるブルーにジョミーは大変尊敬の念を覚えます。しかし自らの立場を考えたら、余計なことを考えてはいけない…この美しい家長の手助けになるため、邪念を捨てて少しでも決まりごとを覚えていかなければ。若いながらもジョミーは自らの淡い恋心を律し、一族の跡取り婿としてしっかりと家長を支えていく決心を固めるのです。
ある日、広い広い本家の敷地内を案内してもらっていたジョミーは、敷地内に祠があることに気づきました。そしてその前にはこじんまりとした小さな庵が建てられています。その祠は、一族の神様とやらが祭られているそうで、ゆくゆくはジョミーがその祠を守る役目を引き受けることになるだろうとブルーは言います。
「でもジョミー、夜になったらここには決して近づいてはいけないよ。特に何があってもこの庵を覗いてはならない」
禁を破ったら大変なことになるのだと、ジョミーは固く約束をさせられました…。
しかしある夜のこと、たまたま眠れずに庭を散歩していたジョミーは、家の召使の者が隔離されている筈の庵の方向に向かって歩いていくのに気がつきました。「夜になったら決して庵に近づいてはいけない」きつく言い渡されたジョミーでしたが、好奇心には勝てず、こっそりと召使の後をつけていくことにしました。
月の明るい夜で、鬱蒼とした林の中を抜けていく召使の姿も月明かりに照らされて良く見えます。召使はやはりまっすぐあの庵に向かって歩いていきます。身を潜めて様子を見ていると、夜着らしい薄い一重の着物を身に着けたブルーが庵に入っていく様子が見えました。召使はブルーが庵に入ったことを見届けると、庵の扉についている頑丈な閂を下ろし、巨大な錠前に鍵をかけ、屋敷に向かって元来た道を戻っていきました。一族を治める長であるブルーを、こんな小さな庵に閉じ込め、その上に外から鍵をかけるなんて…?!ジョミーは目の前の状況を理解することが出来ずにかなり動揺したのですが、物音を立てれば気づかれてしまいます。とにかく召使の者が完全にその場から立ち去るまで、じっと息を殺して隠れていました。
やっと召使の姿が見えなくなった頃、ジョミーはそっと庵の格子窓に近づいて、中の様子を伺おうとしました。と、格子窓の中からはなにやら大変に悩ましい声が漏れ聞こえてくるではありませんか!格子のはまった窓から中をそっと覗いてみると、月明かりに照らされて一人身悶える白い体が…艶のある声を上げながら身をくねらせているのは、ブルーでした。しかしそこにいたのは、ジョミーの良く見知ったブルーではありません。常日頃いっそ禁欲的とも言えるほど清楚な空気を纏ったブルーですが、まるで遊女のように甘ったるい喘ぎ声をあげながら床の上で一人悶えているのです。まだ14歳という若さの上、今までそのような艶事に全く縁の無かったジョミーにとって、大変に刺激の強い光景です。それにしても一体これはどうしたことなのでしょう…。
ジョミーは目の前の出来事があまりにも信じられず、思わずガタリと物音を立ててしまいます。
「そこに…誰か…いるのかい?」
「ぼ…ぼく…」
「あぁ…ジョミーか、こんな時間にこんなところで何をしているんだい?いけない子だね…」
昼間とはまるで別人のブルーの艶めいた声音に、ジョミーはますます混乱してしまいます。
「ぼ、僕…ただ、貴方のことが気になって…」
「本当に…いけない子だ…あれほど来てはいけないと言ったのに…」
確かに固く言い聞かされたにも関わらず、約束を破って庵に近づいてしまったことは確かです。きつく叱られるかと思いきや、中の麗人はなまめかしい姿で格子窓ににじり寄りながら、甘い声で更にジョミーを煽るのです。
「僕は毎晩ここに閉じ込められているんだ、ひどいと思わないかい?」
「え、え、あの…」
「毎晩こうして一人だと…とても寂しいんだよ…」
「あ、あの…」
「僕はここから出られないんだ…こちらに来てくれないかい…?」
「え、でも…ここには決して近づいてはいけないし、入ってはいけないと言いつけられました…」
「そう…?でも、僕、凄く…辛いんだ…いつもこうして毎晩、たった一人ぼっちで…」
昼間とは全く別人のしどけない姿に惑わされ、若者の理性はぐらつきます。
「あの錠前を開けるのは他の者には無理だけど、君になら…入れる筈だ…」
「え…」
「君には…その力がある…」
確かに自分には他の人間にはない力があり、それを買われてジョミーは一族の婿として選ばれたのです。しかし、そんなことをしてしまってもよいのだろうか…。格子越しに、ジョミーに向かってしなやかな手が伸ばされます。薄い夜着の袖から覗く白い白い腕、細い指…。『何があろうとも庵に近づいてはいけないよ』昼間のブルーの言いつけがジョミーの頭の中で木霊しますが…。
「ジョミー…一人はとっても寂しいんだ…僕を慰めてくれないかい…?」
魅入られたように、勝手にジョミーの手が格子の中の白い手向かって伸ばされていきます。自分の手だというのにまるで誰かに操られているかのように抵抗できません。
「おいで、ジョミー…僕を、慰めて…」
ジョミーの手がブルーの手に触れた途端、二人の間で何かが共鳴し、封印の施された大きな錠前がひとりでにカチリと外れ、ごとんと地面に落ちました。ジョミーの手はまるで自分のものではないかのように勝手に閂をあけ、格子戸を引き開け…禁断の庵の中へと一歩足を踏み入れてしまうのです!
床の上で這いずり回るように身悶えていたブルーですが、ジョミーが中に入るとそのままの姿でジョミーににじり寄ってきます。夜着は乱れ、月明かりに照らされてはだけた肌が白く光ります。淫猥な光をその瞳の中に宿らせながら目はじょみの目を見つめたままで、怪しく口角が上がります。薄い桜色の唇から、濡れた舌が垣間見えると、艶かしく自らの唇を見せ付けるように湿らせ…。その白い手は、目の前の情景に動けないままのじょみの着物の裾の合わせ目に差し入れられ、そのまま上へ…上へと滑らされていきます。
「ブルー…?」
もはやお互いの立場を忘れ、ジョミーの喉仏がごくりと動きます。ジョミーの着物の合わせ目の内で、怪しく蠢く夜のブルーの手…。
「あ…」
一瞬理性を失いかけたジョミーですが、大事なところに触れられ、一瞬我を取り戻します。
「ブルー、だめ…だ、こんな…っ」
「どうして…?君も、こんなになっているのに…」
「だ、だって、こんな…」
「僕が…欲しくて欲しくて仕方が無いんだろう…?」
「で、でも…っ」
「力を抜いて…」
「あぁ…っ…」
ブルーの顔が、そのまま着物の合わせ目の中へと消えていきます…。まだ若く、他人と肌を合わせた経験など全くないジョミーに、与えられる刺激はあまりにも強すぎました。全く抵抗も出来ないままジョミーはブルーに嬲られ、あっという間に身を震わせます。
「あ…っ…!」
ゆっくりと顔を上げたブルーの唇からチロリと見え隠れする舌が、零れ落ちる残滓を舐めとります。もうジョミーにはブルーに抵抗する気力は一つも残されていません。ブルーに手を引かれるままに庵の床に横たえられ、ブルーが自らの体に跨るように覆いかぶさり、自らその白い脚を大きく開くのを息を荒げながらぼんやりと見つめています。
「緊張しているね…ひょっとして、初めてかい…?(くすり)」
「は…はい…」
本来ならば一族の跡継ぎ娘に捧げられる筈であったジョミーの貞操が、魔性の存在によって散らされてしまうのです!しかし、ジョミーはもう完全にブルーに逆らうことが出来ません。ジョミーの体の上に、ゆっくりとブルーの細腰が下ろされていきます…。
「あ、あぁ…っ」
「凄い…君の、硬くて、大きい…」
横たわるジョミーの上で怪しく腰をくねらせながら快楽を貪るブルーです。昼間の清楚な姿からはとても想像がつきません…ブルーが腰を捻るたび、ジョミーの全身に新たな官能の渦が押し寄せます。
「あぁ、ジョミー、いいよ、いい…あ、ぁん、すごく、イイ…っ!」
「ブルー…ブルー…!」
二人は同時に絶頂を極めます…。初めての肉欲の味に溺れ、すっかりブルーの体の虜となったジョミーは、一匹の若き飢えた獣と化し、今度は血走った目でブルーを床に押し倒します。少々乱暴に引き倒され、性急な若者の手に薄い夜着が引き裂かれます…っ!しかし、ブルーは淫猥な微笑を浮かべて、そんなジョミーを満足げな目で見つめます。庵の格子戸からは、今度は二人分の悩ましげな艶声、荒い息遣い、そして月明かりに照らされて蠢き続ける二匹の淫獣の影…。
「早く…きて、もっと君が欲しい…全然足りないよ、もっと僕に、頂戴…早く、ここに入れて…」
「いやらしい人だ…あげるよ、沢山…っ!」
禁を破った二人は夜通しまぐわい続けるのであります…。
やがて気絶するように眠りに落ちた二人ですが、夜が明け、小鳥の声で目が覚めるブルー。人格は昼間の人格であります。隣で寝ているのが一瞬誰か分からなかったのですが、起きたことだけは容易に予想がつきます。
「まさか…僕は、また…!」
隣に寝ているのが一体誰なのか、震える手で顔を確認すると…なんと、跡継ぎ娘の婿候補ではありませんか!
「僕は…なんてことを…」
ブルーは血の気を失って真っ青です。 跡継ぎ娘に婿入りさせるのは純潔の貞操を保った男子のみと決められているのです。それなのに、その貞操を奪ってしまった…大変な罪です。自ら犯した罪の重さにおののいて、唇まで真っ白にして一人でブルーが震えていると、ジョミーがようやく目を覚まします。
「ん…おはよう、ブル…」
寝ぼけ眼でブル~様にキスするジョミーです。ブルーは全くそれどころではないのですが、その一連の小さな仕草に、ジョミーの人となりの暖かさを感じてちょっと胸がじんわりしちゃったりします。しかしただごとでないブルーの様子にさすがに子供のジョミーも気がついて、真顔で心配そうに覗き込んできます。夕べはあれ程乗り気で自分を誘惑してきたのに、今のブルーのうろたえぶりはただ事ではありません。
ブル~様は自らの体を抱きかかえるようにしてガタガタ震えています…。
「ブルー…どうしたの?ごめんなさい、僕が無理矢理…」
「違う…違うんだ…」
そしてブルーはジョミーに初めて一族そして自らの秘密を打ち明けるのであります。ブルーの一族には、たまに神通力を持つ者が生まれるのです。そう、丁度ジョミーが持って生まれた不思議な力のように…。ジョミーがブルーとなにか相通じるものを感じたのは、偶然でもうぬぼれでもなかったのです。一族が栄えてきたのは、ブルーの神通力を通じて祠に祭られている神の宣託の通りに行動してきた結果なのであります。しかしブルーが生まれてからというもの、他にブルー以外に同じ能力を持つ者は一族に生まれておらず、そのためにどうしても跡継ぎが必要なのです。ブルーは子供が出来ない体なので…。強大な神通力を持って生まれてきたブルーは、子供の頃はその神通力を上手く制御することが出来ず、持って生まれた容姿も手伝って、「子孫を作るため」という大義名分を振りかざす悪い大人達に男女問わず散々慰み者にされていたのです(お約束)おかげで、夜になるともうひとりの人格が現れるようになってしまったのです…。
「そんな…なんて酷いことを…!」
憤慨するジョミーですが、ブルーは更にジョミーの驚くような事実を告白します。実はブルーは見かけどおりの年齢ではなく、とうに100歳は越しているというのです。一族の中で神通力を持って生まれてきた子供は見かけは変わらないままに長寿なのです…。薄まっているとはいえ、その神通力を受け継いでいるジョミーもそれなりに長寿である可能性は大きいとブルーは言います。
「…だから、その人達はもう年老いて皆死んでしまったよ。昔のことだ…」
一族がブルーの存在を外の人間にひた隠しにするのにはそのような背景があったのです。神通力を持つブルーは一応崇め奉られてはいますが、一方ある意味厄介者でもある…なので今まで一族の皆からも一線を引かれておりました そんな姿を、憎からず思っていたジョミーに見られ、ブルーは軽蔑されるのを覚悟で恥を忍んで全て告白するのです。しかし心優しいジョミーは、ブルーを軽蔑するどころか、ブルーの苦しんできた重圧に驚愕し、同情し、そしてブルーへの気持ちを新たにするのです。
しかし二人が禁を破って体の関係を持ってしまったことを一族の他の者に知られては一大事であります。なんだかんだ言って、ブルーの持つ神通力は(他の皆にとって)大事ですので、一族の血を絶やすわけにはいかないのです。朝になれば誰かが錠前を外しにきます。慌ててじょみは外へ飛び出し、錠前を元通りにかけ、こっそりと自らの寝室へ逃げ戻るのであります。
禁断の関係でありながら、一旦通じ合った思いを断ち切れない二人は、一族の皆の目を盗んでたびたび逢引をするわけです。一族のしきたりを家長から叩き込まれるという名目で、二人きりになる機会は沢山あります。しかし旧家の日本家屋のこと、部屋の仕切りは襖は障子、しかも欄間から声などは周囲の部屋に筒抜けです。ですので、昔の巻物や家系図などを見せてもらっている間に、ジョミーの手が文机の下でそっとブルーの手を握ったり、そのような小さな触れ合いで満足するしかありません。先祖代々美しく保たれてきた日本庭園を二人で散策している折も、どこに家人の目があるか分かりません。昼間のブルーは夜の淫乱な人格とは全く違い、処女のように初心で、庭園の木から舞い落ちた落ち葉をブルーの髪から払う際、余韻を楽しむかのようにジョミーの手がブルーの耳たぶを掠めると、さっとうなじに紅が走ります。そのような初々しくも純情なブル~様の様子に、ジョミーはますます惚れ直すわけであります。
夜は庵に誰も近づかないのをいいことに、夜は夜でこっそりと逢引を重ねます。夜になれば、ブルーは若いジョミーの精を絞りつくすかのような勢いで貪ってくるのです。でもジョミーはどちらのブルーもいとおしく…。
しかしそのように逢引を重ねていたところ、ついに一族の者に二人の関係が知られてしまいます。激怒した一族の者達にブルーは庵に監禁され、二人は引き離されてしまいます。神通力を持っているジョミーさえ手に入れば、長とはいえ実質ブルーはもう必要ない存在です。今まで一族のために犠牲になってきたブルーですが、ジョミーがいる今、抹殺してしまっても構わないのではという過激派の考えまで…。やはり見張りつきで軟禁されてしまったジョミーは、一族の目論見を知り、ブルーを助け出す決心を固めます。
ジョミーは一族の者達のスキをついて逃げ出し、見張りのついている庵ではなく祠に駆けつけ、生まれ持った力で一族の神が祭られている祠を破壊します。途端に島にあちこち施されていた封印の全てが解け、島は神様の守りを失ってしまうのです。混乱に乗じてジョミーはブルーを助け出し、島を脱出します。神様に仕えなくともよくなったブルーは、夜も昼間と同じ人格を保つことができるようになりました。体に叩き込まれた床上手はそのままですが…(ご都合主義)追っ手がかかることを心配していた二人ですが、神の守護を失った一族はみるみるうちに没落し、島はあっという間に寂れてしまったそうです。一族の枷から解放されたブルーとジョミーは、人里離れた山の中で、ひっそりとしかし末永く幸せに暮らしましたとさ。
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