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ASIAの独り言

在米ジョミブル者の独り言。全て自己責任でお読み下さい。
愛の妄想劇場・☆の王子様 …の原作者設定パロ
今回は☆の王子様…の原作者設定パロです☆一体なんだそりゃ、と思われた方は是非聞いてくださるがよろしい。チャットで☆の王子様の話題が出たんですよ。☆の王子様って、原文では結構BLくさい表現があるらしいというようなお話をしてくださった方がいてですね。で、ジョミブルで当てはめるなら誰が誰だろうみたいな話になって。で、内容あまりしっかり覚えていなかったので早速ウィキペディアで検索かけてみたんですよ。そうしたら中身よりもナニよりも、別のところに目が吸い付いちゃって。

その「別のところ」がどこかっていうと「献辞について」の項目である!なんの話か分からん、という方は今すぐウィキペディアの☆の王子様ページに走ると良かろう!そして「献辞について」の項目をじっくりと読むのじゃ皆の衆!つまり☆の王子様の作者はある人物にこのお話を捧げたらしいのですが、その人物とは作者にとって「この世で一番の親友であり」「おとなだけどなんでも分かるひとで」「今フランスにいて、お腹をすかせ、寒い思いをしているのでなんとか慰めてあげたい」

…ちょいと奥さんどうよこれ!!!(*^^*)一目見ただけでなんか悶える程萌えた!その上、この人物とは、原作者よりも22歳年上!ちょいと皆さん、年下攻めですわよ!!(激しく違)勿論実在する人物の設定を借りてのことですからあまりおおっぴらに騒ぐのもどうかと、今回は「☆」で伏字にしたんですが、もうこれ見ただけで萌えエネルギー120%満タン!てな勢いで妄想がフル回転、あっという間に今回の妄想劇場↓が出来上がりました~(^。^)





昔昔のこと、ブルーというそれはそれは優秀な軍人がおりました。軍に居た頃はその有能さに「ソルジャー」との異名を取り、数々の戦功で鳴らしたものです。しかし、次第に戦いの意義に疑問を持ち始めたブルーは、軍を退き、今度は完全に方向転換をし、熱烈な平和主義者となりました。群を退いた後は、ジャーナリスト、作家、批評家といった仕事をしており、その方面でも良く知られるようになりました。

ブルーはミュウという今では数少ない種族の民でした。ミュウはもともと今は無き王国「テラ」の民で、ほかの国と殆ど交流のない封鎖的な国でしたが、あるとき諸大国に攻め入られて領地を占領され、その民族は国無き民として世界中に散り散りになってしまったのです。ミュウは元来繊細な精神の持ち主であり、未来を占ったり、多少は不思議な力を使える者達もいましたがそれほど力は強くなく、その一番の特徴は長寿であることでした。いつまでも年を取らず長く生きるため、多くのミュウ達は流浪の民として、あまり人と関わらないようにひっそりと暮らしているのが常でした。多くの地域で、ミュウというだけであからさまな迫害を受けることが多かったのです。ブルーはその中では珍しく積極的に世界と関わろうとしたミュウでありました。しかしそのプライベートな暮らし向きはどうかというと、やはり世捨て人に近く、人間・ミュウに関わらず、友人と言うものを殆ど持たずに、殆ど訪れるものもなく、片田舎で静かに暮らしていたのです。

ジョミーはそんなブルーの近所の孤児院で暮らす子供でした。近所といっても、ジョミーの家からブルーの家までは森の中をまっすぐ突き抜けても30分以上はかかります。ジョミーがブルーの家を見つけたのは最初は本当に偶然で、一人遊びが好きだったジョミーが森の奥まで一人で探検をした折に、たまたま隠れるように建っているブルーの家を見つけて中に入ってみたのがきっかけでした。好奇心の強い子供であったジョミーを珍しいお客としてブルーは歓待し、それからジョミーは頻繁にブルーの家にやってきては日々入り浸るようになったのです。二人の間には22歳という年齢の差こそありましが、ミュウなので若く見えるブルーはジョミーにとってとてもとっつきやすく、二人は無二の親友になりました。暇を見つけてはジョミーはブルーを訪れ、その日の出来事や色んなたわいない話をするのが常でした。時にはブルーの手料理をご馳走になることもありました。ジョミーが学校や孤児院で友達と喧嘩をしたときなども、ジョミーは必ずブルーの家にやってきてその話をしました。そのたびに、ブルーは「喧嘩はいけないことだよ」とジョミーを優しくたしなめるのでした。

「だって、キムのやつ、酷いんだよ」
「君にも悪いところがあったんじゃないのかい」
「そりゃ…僕も悪かったかもしれないけど、でも…」
「それなら、明日はちゃんとキムに謝るんだ。いいね」
「え~…」
「えーじゃない」
「あ~あ、世界中のみんながブルーみたいに優しかったらいいのになあ」
「僕は優しいわけじゃなくて、ただの大人なんだよ。ジョミーはまだ子供だからね、これからまだまだ大きくなって、成長して、色んなことを吸収していくんだよ」
「大人ってわからずやが多いけど、ブルーは違うよね。ブルー、大好き」
「…僕も、ジョミーが大好きだよ」
「本当?嬉しいな!」
「お茶にしようか。今日はジョミーの好きなブルーベリーのマフィンを作ったんだよ」
「うわーい!ブルー大好き!」

ジョミーの夢は童話作家になることでした。ジョミーは作家でもあり、博識なブルーからいろんなことを教えてもらい、どんどん吸収していきました。いつか自分がもっと大人になって、童話を書くようになったら、挿絵も自分で描いてみたいと思い、まだ拙いですが可愛らしい絵など描いてはブルーに見せに持ってくるのです。

「ほら、これね、いつもブルーの家の裏に出るキツネの絵」
「可愛い絵だね。ジョミーらしい」
「そう?いつか僕もブルーみたいに作家になりたいなあ」

ブルーは夢ではちきれる程に輝くジョミーを眩しい目で眺め、その将来を楽しみに思ったりするのでした。

しかし、どんなに小さくあどけない子供でも、誰しもいつかは成長するものです。ブルーと出会った頃はまだまだ小さな子供だったジョミーですが、成長するにつれ、ジョミーがブルーを見る目に少しずつ熱が篭るようになりました。子供のジョミーは、ただ単純にブルーのことを「何でも知ってる大人で、この世で一番の親友」だと思っておりました。そしてそれは変わってはいなかったのですが、同時にブルーは自分が思っているほど一人で完璧に完結しているわけではなく、実は深い孤独を抱えていることに気づいてしまったのです。そして、その孤独を癒せる存在になりたいと願うようになりました。

そして、元から聡いブルーがそのようなジョミーの変化に気づかぬ筈がなく、ブルーも少しずつジョミーの視線を意識するようになりました。食事が終わって後片付けを手伝ったりするときに、肩が触れ合ったり、皿を渡されるときに指が触れ合ったり。子供の頃は全く気にならなかったそのような小さな触れ合いの筈なのに、まるで電流が走ったように熱を感じ、時折びくりと手を引っ込めたりしてしまうのですが、すぐに何事もなかったかのように振舞うブルー。そんなブルーを見、ジョミーの視線がまた一層切なくなるのです。そのうちに、自分の中で大きく育ってしまった、あどけなく年若き親友への気持ちに気づかざるを得なくなるブルーですが、人間とはそもそも寿命自体が違うミュウである自分に、愛だの恋だの許されるわけがない…。ブルーは必死で自分のジョミーに対する気持ちを押し殺します。

しかしそんな片田舎の静かな暮らしを二人が満喫している間も、世情はどんどん変わっていたのです。世界大戦が勃発し、ある大国の軍による横暴なミュウ狩りが始まりました。元「ソルジャー」であるブルーには勿論真っ先に敵国の軍の手が伸びる筈…。ブルーはとりあえず違う隠れ家に移動します。ジョミーにだけは場所を教えていくのですが、今のようにすぐ近所というわけではなく、そう頻繁には会えなくなりました。ブルーにとっては、ミュウである自分は長寿であるし、時間だけならあまりあるほどある。戦争が終わるまで幾らでも待てるという気持ちがありました。熱烈な平和主義者のブルーは、とにかく戦いに巻き込まれることを嫌い、戦争を回避してほとぼりが冷めるまで隠れ住んでいたいという気持ちだったのです。

ブルーが新しい隠れ家に移ってからも、何度かジョミーはブルーを訪ねて来ました。世情が変わり、人の目をはばかり、隠れ住まなくてはならないブルー。慣れているので全く気にしていない様子のブルーと違い、そんな生き方をしなくてはならないブルーをジョミーは不憫に考えているようです。とても自分達のお互いに対する気持ちなど考えている状況ではない、そんなある夜。二人でいつものように世界状況を語り合いながら、ジョミーが手土産に持ってきたワインを二人で酌み交わしておりました。そう、いまやジョミーは既に社会人として独り立ちしており、とっくに酒を飲んでも良い年齢になっていたのです。

「貴方はこのままでいいんですか」
「僕にはいくらでも時間がある。待つことには慣れているよ…」

電気も引いていないブルーの隠れ家の中では、夜はランプの灯りで照らされます。手を伸ばせばすぐに触れられる距離で、いつもの会話、いつものやりとり。しかし…ランプの灯りごしにブルーの顔を見つめていたジョミーの顔が、段々ブルーの顔に近くなると…そのままブルーの唇に、ジョミーの唇が重ねられました。ブルーは抵抗しませんでした。想像以上のブルーの唇の甘さに、ジョミーの意識がクラリとします。唇の薄く開いた隙間からそっと舌を差し入れると、ブルーの舌は迎え入れてくれました。何もかもがあまりにも自然で、二人の口付けは段々とそのまま深くなってゆきます…。しかし、ひとしきり口付けを交わした後、先に顔を離したのはブルーでした。ブルーはジョミーから顔を背けます。

「今のは…ただの酒の勢いだ。何もなかったと思って忘れてくれ」

元「ソルジャー」の肩書きを持つ、そしてなによりも迫害される立場のミュウである自分が、輝くほどの可能性を秘めたジョミーの未来の妨げになってはいけない。ブルーの頭にあったのはただそれだけでした。ジョミーも深追いはしません。

「分かりました…」

ジョミーはもう、昔のような聞き分けのない子供ではなかったのです。二人はその後も、何事もなかったかのように振舞います。あえてブルーを追い詰めないのは、ジョミーの優しさでした。


その後ジョミーはしばらくブルーを訪れることはありませんでした。しかし、ブルーはある筋から気になる噂を聞きつけます。自国の軍に、ずば抜けて凄腕の軍人が入隊したこと、昔のブルーを彷彿とさせる、その抜きん出た優秀さに、「ソルジャー」という仇名がついたこと。そして、その男は金髪で緑の目を持つ、なかなかの美青年だと…。まさか…ジョミー?自分の平和主義を誰よりも良く理解しているはずのジョミーが軍に入隊とは。とてもブルーには信じられないことです。世代と年齢の差はあれど、この世で一番の親友とジョミーがブルーを考えていたように、ブルーにとっても、ジョミーはこの世でただ一人だけ、自分が初めて心を開いた相手でした。それなのに…噂を聞いたブルーは、本当に心が張り裂けそうでした。そして、ブルーはそれをジョミーの自分への裏切りと捉えます。しかし本人に直接問いただす機会もなく、悶々としていたところに、久々にジョミーが訪れるのです。

以前に会ったのはもういつだったか、ブルーにも思い出せない程でした。そして、久しぶりに会ったジョミーの姿を一目見て、何も聞かなくともああ噂は本当だったのだと、ブルーはつくづく実感するのです。

それまではまだどこか甘い子供らしさが抜けない、あどけない空気を纏っていたジョミーなのでしたが、久々に見ることの出来たジョミーの姿は、少年から大人の男へと、すっかり変貌を遂げていたのです。丸みを帯びていた顔立ちはシャープなものとなり、柔らかくしなやかだった体つきも、同じしなやかさでも筋肉のしっかりついた体へと変化していました。

自分からは噂について全く触れようとしないジョミーに、ブルーはきつく真相について問いただします。

「何故…君が軍に入ったというのは本当だったんだな。ソルジャー・シンというのは、本当に君なのか!」

対してジョミーは否定も肯定もせず、ただブルーを見つめ返します。それが全ての答えでした。ブルーは固く拳を握り締め、唇を噛み締めます。

「どうして…僕があれほど戦いを憎んでいることを、君は知っている筈なのに…」
「ブルー…」

返事は、落ち着いた、低い声です。もう少年の甘い声ではありません。ますますブルーは身を固くします。

「今は貴方に分かってもらえないかもしれません。貴方を悲しませるつもりはなかった。でも…僕が軍に入ったのには僕なりに考えがあってのことです」
「言い訳など、聞きたくないよ。僕は…もっと君は僕の気持ちを理解してくれていると思っていた」
「僕に…もっと貴方のことを解っていて欲しかった?」
「…!」

言われてみて、ブルーははっと気づきました。自分の気持ちを制することに成功していたと思っていながら、知らず知らずのうちに、自分がどれほどジョミーに期待を寄せていたかということに。

「それがどういう意味なのか、考えてみてくれたことはありますか」
「そんな…第一今はそんな話をしているわけではないだろう」

心なしか動揺し、話題を逸らそうとするブルーですが、ジョミーはそれを許しません。

「繰り返しますが、僕が軍に入ったのはそれなりに理由があってのことです。貴方は今は聞きたくないかもしれない。でも…」
「…」
「いつか貴方にも僕の気持ちについて考えてみて欲しい」
「何の話か…解らないね。」
「僕の、貴方に対する気持ちですよ」

ブルーは、見たくない…と思いながらも、ジョミーの言葉に滲み出る真摯さに、思わず顔を上げてジョミーの目を見つめてしまいます。そして…ブルーはとても後悔しました。

そこにいたのは、子供のように弟のように自分を慕って追いかけてきてくれていたあどけない少年ではありませんでした。自分を熱い目で見つめているのは、一人前の男として、自分をまっすぐにその瞳で射抜く、大人の男でした。

「貴方だけを…愛しています、ブルー」

その瞳に捕らわれてしまったと思った瞬間、ブルーはジョミーの腕の中に抱き込まれていました。あんなに小さかった少年が、今では自分の背を僅かながらも追い越し、足が震えてしっかり立てない自分の体を逞しい腕でしっかりと抱きとめているのです。密着する衣服の下から、しっかりとついた筋肉が感じられます。

視線を合わせられたまま、ジョミーの顔が近くなり…ブルーは口付けられました。前回の初めてのときのような優しい触れ合いではなく、ジョミーの強い意志を感じさせる、貪られるような口付けでした。逃げを打つブルーを許さず、ジョミーの熱い舌が入り込んできてブルーの全てを絡めとります。逃れようにも、それほど逞しいとも思えなかったジョミーの腕ががっしりとブルーの体を捉え、身動き一つとれません。

「ん……」

このままこの腕の中にずっといられたらどんなにいいか、遠くなりそうなブルーの意識の中を、そんな考えがちらりと掠めます。しかし、ミュウであり弾圧される対象である自分、戦いを誰よりも望まぬ自分。そして、軍に身を投じ、今これからまさに戦いの真っ只中にその身をおこうとしている、自分とは全く違う生き方を選択したジョミー。そんなジョミーを受け入れることは、自分にとってとても許せることではありませんでした。ジョミーのことを人一倍大事に思っていたからこそ、なおさら受け入れるわけにはいきません…。幸いブルーはジョミーに出会う前からも、元ソルジャーのミュウとして孤独に生きていきました。今ジョミーを突き放したとて、痛みは一瞬の筈。ブルーはなけなしの精神力を振り絞り、今持てる自分の精一杯の力でジョミーを突き飛ばしました。

「ブルー…」
「僕に、触るな!!」

ブルーは荒い息をつきながら湿った唇を拭い、それでも必死で言葉を繋ぎます。

「僕と君とでは、もう生きる道が違うんだ。これ以上の接触は、お互いのためによくない」
「…」
「帰りたまえ。もう…二度と会うこともないだろう」

ブルーはジョミーの目を見ることが出来ず、顔を背けたままそれだけ吐き出すように言いました。

「ブルー…」
「聞きたくない」
「今はまだわかってもらえないかもしれない。でも、いつか貴方にも解ってもらえる日が来ると…信じてます。」

ブルーは床だけを見つめたまま、もう二度とジョミーの方を見ようとすらしません。ジョミーは椅子にかけてあったコートを取り上げ、最後にもう一度だけブルーに向かって振り返ります。

「覚えていてください、…僕の、貴方への気持ちを」
「…」

ブルーの背後で、パタリと扉がしまります。心から望んだ、ただ唯一の存在を自ら断ち切る選択。ブルーはまるで身を切られるような思いでした。ブルーは固く唇を噛み締め、蝋細工のように蒼白な面持ちで、零れ落ちそうになる涙を必死でこらえながら、ただ揺れるランプの光を見つめていました…。




その後、ブルーからの連絡はぱったりと途絶えました。しばらくしてジョミーがもう一度ブルーの隠れ家に足を運んでみると、思ったとおり、そこはもうもぬけの殻でした。ブルーは自分のいた痕跡を綺麗に消して、他所の国へと亡命してしまったのです。ソルジャー・シンがどれほど軍のコネを使用し、手を尽くして探したとて、ブルーのほうが一枚うわてで、その消息はようとして知れ間sねでした。

戦争は続き、戦いは激しさをいや増します。しかし、戦いの真っ只中には、常にソルジャー・シンの姿がありました。ソルジャー・シンは「鬼神」と噂されるほどに、その戦い方は情け容赦無いものでした。しかし、ソルジャー・シンの真の戦いは、戦争を終わらせるための戦いでした。戦争を終わらせ、ミュウへの差別と弾圧をこの世からなくすこと。それがソルジャー・シンの真の望みだったのです。

どのような激しい戦いのさなかにいても、ソルジャー・シンがブルーのことを考えない日はありませんでした。長く激しい戦争も、ソルジャー・シンの功労により、段々と終結の予感を見せてくるようになりました。もうすぐ…もうすぐ、ブルーが弾圧を避け、世捨て人のように隠れ住まなくても、堂々と暮らせる世界になる。それだけを望みに、ソルジャー・シンは戦い続けました。

しかし同時に、消息を絶ったまま全く連絡の取れないブルーのことも当然気にかかっています。戦いも段々と終結に近付いてきており、ソルジャー・シンも少しずつ時間の余裕が取れるようになってきました。しかしながら、さすが元ソルジャーといおうか、どれほどソルジャー・シンが手を尽くして探させても、ブルーの痕跡はどこにも見つけることが出来ず、気持ちを伝えるどころか、連絡を取る方法すら見つかりません。どうしてもブルーに自分の気持ちを伝えたい。それには手紙でもよかったのですが、出すあてのない手紙を書いたところで一体なんの意味がありましょう。

なので、ソルジャー・シンは、軍人、ソルジャーとしてではなく、ブルーの後を慕い歩いていた少年のジョミーとして、自分の気持ちを童話としてしたためることにしました。どんなにささやかであっても、本として出版されれば、いつかはブルーの目に留まることがあるかもしれない。ブルーはもともとジャーナリスト、作家、評論家でもあったので、新しく出版される書籍には分野を問わず良く目を通しており、一通り網羅しているのが常でした。ですのでソルジャー・シンはそれに賭けたのです。読んで貰える可能性がどれほど低くとも、ソルジャー・シンはこのまま自分の気持ちを無かったものとして葬り去ることだけはどうしてもできませんでした。だから、本として出版すれば、ブルーの目に留まる可能性が一番高いと考えたのです。

そこで、忙しい時間の合間を縫っては、ソルジャー・シン、いえ、ジョミーはコツコツと自分のお話を書き溜めていきました。戦争に対する痛烈な風刺だけでなく、自分があちこちの土地に出向いて見聞きして感じたことなどと、子供にも解りやすいように織り込んでいきました。自分が軍に入ることで本当に守りたかったもの、もし読めば聡明なブルーならきっと解るだろうと、真心を込めて物語をしたためていきました。

やがて一冊の本が出来上がります。勿論「シン」としてではなく、「ジョミー」の名前で出版されるのです。献辞のページには、自分の正直な気持ちを吐露しました。

「僕はこの本を、僕の一番大事な人に捧げます。そのひとは、この世で一番の僕の親友であり、おとなだけどなんでも分かるひとなのです。彼の居場所は今はわからないけれども、一人ぼっちできっと寂しい思いをしているその人の心を、なんとか少しでも暖めてあげられたらと思ってこのお話を書きました。その人がいてくれた日々は僕にとって宝石のように宝物です。その人にとっても僕の存在が少しでも慰めであったならと心から願います。」

ソルジャー・シンは、昔ブルー繋がりで顔見知りになった知り合いの編集者に完成したお話を郵送します。出版された童話は世界中で大ヒットし、何ヶ国語かに翻訳されます。ブルーが一体どこの国に隠れ住んでいるのかは分かりませんが、目に触れてくれればいいな…とジョミーは思います。



そしてしばらくたったある日、厳重な警戒態勢を強いている筈のソルジャー・シンの執務室のデスクに、一通の白い封筒が置いてありました。部下に聞いても誰も知らないと言います…。何の変哲も無い、何の記名もされていないその封筒を開けてみると、真っ白な一枚の紙に、暗号のようなものが書かれていました。ソルジャー・シンにとっては懐かしい文字の羅列です。昔まだ子供だったジョミーが毎日のようにブルーの家に通っていた頃に教えてくれた、古代から伝わる暗号の文字でした。

「近代では誰も使っていないんだよ」
「へぇ~凄いねブルー、何でも知ってるんだね」


今では殆ど誰にも知られていない筈のその暗号言語を知っているのはほんの一握りの人間のみのはず。昔ブルーに教えてもらったとおりに暗号を読み解くと、それは座標らしき数字でした。数字を暗記し、ソルジャーはその紙と封筒を暖炉の火にくべてしまいます。

数ヵ月後、長く続いた戦争はやっとその幕を閉じました。

ソルジャー・シンは和平交渉のテーブルにつき、新政府の役割を次々に振り分け、新しい政治を樹立させます。もうミュウの人権が剥奪され、迫害されることは二度となくなりました。元テラの領地は今やシャングリラ共和国とその名を変え、ミュウであれば誰でもその人権を保護され、シャングリラに住む権利が与えられることになりました。もうミュウが逃げ惑う必要は二度となくなったのです…。

新しい政府の何もかもがスムーズに機能し始めたのを見届け、ソルジャー・シンはある日移動の飛行機で基地を飛び立ったまま消息を断ち、そのまま公の場には二度と現れることはありませんでした。


勿論それは表向きのことで、ソルジャー・シンはそうやってソルジャーとしての身分を捨て、ジョミーとして座標の場所へと辿り着いたのです。

深い森の奥に、座標の場所には一軒の小さな家が建っていました。扉をノックしてみましたが、誰も出てきません。押してみると、扉の鍵は開いていました。

中に入ると、懐かしい想いがジョミーを襲います。家や家具は違っても、そこには確かにブルーの住む匂いがありました。薄い明かりを辿っていくと、リビングの小さな暖炉には明々と火が燃え、暖炉脇の椅子に座っているのは…別れたときと寸分違わぬ見かけの想い人です。

「やあ…待っていたよ」

銀色の髪、深紅の瞳。記憶に残っているのと同じ笑顔で、麗人は立ち上がりました。

傍らのサイドテーブルには、ジョミーの本が開かれていました。キツネの挿絵のところに、栞が挟んであります。

「読んでくれたんだ」
「ああ…」
「貴方なら…分かってくれると思っていたよ」

ずっと音信不通だったブルーが連絡を寄越してくれた。それがブルーの答えだということは分かっていても、こうして目の前にその存在を確認できるまでどれほどジョミーが不安に思っていたことか…。しかし、今ジョミーの目の前に立っている想い人は、別れたときの痛々しい表情ではなく、どこか恥ずかしそうですがジョミーの大好きなあの笑顔でジョミーを見つめてくれています。

「ただいま、ブルー」

ジョミーに言えたのはただそれだけ。次の瞬間、ブルーは自らジョミーの腕の中に飛び込んできました。

「ブルー…やっと何もかも終わりました。会いたかったです…」

ジョミーは腕の中の愛しい体をしっかりと抱きとめます。以前と比べると少し痩せたような気もしますが、それは自分の背が伸びたせいかもしれません。夢にまで見たブルーを抱きしめ、ブルーの髪の匂いを一杯にジョミーは吸い込みました。自分がいたい場所はこの愛しい人の傍しかない。ジョミーははっきりと思い知りました。

「君の気持ちは…今でも変わっていないかい?」
「勿論です…愛しています、ブルー」

ジョミーが言い終わるや否や、ブルーの唇がジョミーの唇を貪るように奪います。勿論ジョミーは万感の想いを込めてそれに応えます。

「僕も…会いたかった、ジョミー…帰ってきてくれて、ありがとう…」

長年離れ離れになっていた時を埋めようとするかのように、二人の口付けはどんどん深くなります。暖炉の明かりに照らされながら、再会した二つの影は一つになったままずっと離れることはありませんでした…。

余談ですが、二人で暮らすようになってからジョミーがブルーと負けず劣らず何年経っても老化を見せないことにまず気づいたのはブルーでした。なんとジョミーもミュウだったのです。人間よりも長い長い人生を、シャングリラに移り住んだ二人はお互いの傍で幸せに暮らしました。

おわり♪
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