ASIAの独り言

在米ジョミブル者の独り言。全て自己責任でお読み下さい。
愛の妄想劇場・テラニア国物語焼き直し版(2)
今回も更に更に超ドラマクイーン的な展開ですが、このネタを考えたときはそれがス☆テ☆キ☆だと思っていたのですからもうしょうがないですねぇ(--;)そして相変わらずブル~様が超可哀想な感じですが、ブル~様はそういうのが似合ってしまうのだからこれももうしょうがないですねぇ~(苦笑)

てなわけでその(2)です。どんな設定でも許せるよって方のみ、↓ドウゾ~☆








テラニア国の長い長い冬が始まりました…。全てはテラニアの大いなる力の働きの計画通りです。実際シンはうまくやったのです。本能のままにシンに惹かれていたブルーをズタズタに傷つけたことは、ブルーにとっては手酷い裏切りでした。その上、シンの手によって心を抉り取られてしまったブルーは、生まれながらにして持ちえていたその優しい心を既に持たず、かろうじて欠片ほど残ったその心の中を満たすものはシンへの純粋な憎悪のみでした。シンに暴力で蹂躙されたことにより目覚めた真実の『白い魔女』の力は、あっという間にナルニア国全体を覆い尽くすほどに強大なもので、そしてそれはブルーを完全に孤独な生き物にしてしまったのです。

絶望により何度も自らの命を絶とうとしたブルーでしたが、どうしても死ぬことが出来ません。ブルーの命を奪うことが出来るのは、シンか、外の世界からやってくるという予言に出ている、アダムの息子、イブの娘、つまり人間の子供達のみなのです。憎しみと怒りを植えつけられただけでなく、完全に孤立させられてしまったブルーの哀しみは、更にその魔力を絶大なものにしていきました。そしてそれはつまり、その分より深くテラニアが浄化されていくことに繋がっているのです。『白い魔女』の魔力は、テラニアに蔓延っていた穢れを一瞬にして凍て付かせて消滅させてしまいます。そして、来るべき再生の日に向けて保存されるべきものだけが、白い雪と冷たい氷に閉ざされて眠りに落ちるのです。

テラニアに生きる生き物達の中で、邪悪な心を持つ生き物達は、各地に散らばっていたもののその本能に従って、自然と『白い魔女』の周囲に集まってくるようになりました。皮肉なことに、邪悪な生き物達に囲まれて、ブルーはますます孤独になっていきました。何もかもが全て計画された通りです。

太陽の光のように黄金色の髪、そして若草の碧を思わせる翡翠のようなシンの瞳。それらを思い出させるような暖かい春の色彩を目にすることはブルーにとってとても耐えられないことでした。どんなに望んでも、自分の手はそれらの暖かさに触れることはできないというのに…。なので、ブルーは自らの力の及ぶ限りの全ての土地をどんどん凍て付かせていきました。ブルーの受ける傷が深ければ深いほど、テラニアはより美しい再生に向けて浄化されていくのです…。

シンはテラニアのどこにいてもブルーの存在を感じることができました。そして、ブルーの深い哀しみ、そして涙を流してはいなくともブルーがいつも一人で泣いていることも感じていました。創造者として強くあらねばならないと分かってはいても、シンは内心辛くてたまりません。

しかし、ブルーの犠牲の元にテラニアの浄化は進められていきました。その間シンはしばらく他の生き物達の前から姿を消し、約束の日が来るのを辛抱強く待ち続けていたのです。テラニアの中にシンの存在を感じられなくなったブルーは、ますます荒れ狂い、テラニアはますます深い雪の中に閉ざされ、凍り付いていきました。無慈悲な白い魔女の名はテラニアの全ての生命の恐れるところとなり、望むと望まないとに関わらず白い魔女の力はテラニアに君臨することとなったのです。



さて、シンがテラニア姿を消してから長い年月がたち、異世界からアダムの息子達とイブの娘達がやってきました。テラニアの大いなる力による、定められた役目を持った子供達です。長かったテラニアの浄化の時の終わりが近付き、テラニアの再生の日が近づいてきたのです。それを感じ取ったシンは、そろそろ自分が姿を現す頃合であることを悟り、少しずつテラニアに姿を見せるようになりました。

しかし、テラニアのどこに居てもシンはブルーの動向を全て手に取るように把握しています。アダムの息子である人間の子が、ブルーと接触し、あまつさえブルーの美貌に虜にされてたぶらかされてしまったことも当然シンは感じ取っていました。人間の子供達は、シン以外に唯一白い魔女に直に触れることのできる存在です。まだ物事を分かっていない年端もいかない子供とはいえ、長い間の孤独に苦しみ人との接触に飢えているブルーがいつほだされてしまうかも分かりません。寒さに凍えるアダムの息子を、自らの外套にくるんでやって暖めているブルーの姿を感じ取り、シンの心は嫉妬の炎に焦がされます。初めて感じた第三者のぬくもりに、ほんの僅かに残ったブルーの心が揺れているのが分かります。自分への復讐以外の気持ちを抱き始めているブルーの心情に、抑えた心が引き裂かれるようです。このように定められた運命でなかったなら、心の中で一人ぼっちでずっと泣き続けているブルーをこの腕の中に抱きしめて愛を囁くのはこの自分であった筈なのに…。

ですが、テラニア再生の日はもうすぐです。今までの辛く永い年月に比べたら、たいしたことではありません。それにもうすぐシンはブルーに合間見えることができる。その日だけを心の支えに、シンは自らに課せられた役割を果たしながら日々を耐え抜き続けます。



「なんだって!!」

人間の子に魔法のかけられたお菓子を食べさせ、一通り話を聞いていた白い魔女は叫びました。

「シンが…シンがこのテラニアに帰ってきた?!その話は本当なのか!!」
「び、ビーバー達がそう言っていました…シンがテラニアに戻ってきて、この世界を蘇らせるのだと」
「まさか…奴が戻ってくるのか…」

ただでさえ抜けるように白い魔女の顔色はますます蒼白になり、震えてすらいるようでした。あのシンが…テラニアにいるというのです…。このテラニアにおいて唯一その力で自分をねじ伏せることが出来る存在。抵抗ひとつできなかった自分をズタズタに引き裂いて以来ずっと行方をくらましていたあのシンが。自分の魔力がシンに通用しないのは既に経験済みです。自分にあれだけ酷いことをしておいて、一体シンはこれから何をやらかす気なのでしょう。ブルーは心の底から震え上がりました。

しかし、同時にブルーは一つの決意を固めました。今度こそ、どんな手段を使ってもシンの息の根を止め、葬り去ることを。自分を引き裂いただけでなく、自分の心を奪ってしまった相手を、どうあっても生かしておくわけには行きません。シンがテラニアにいる限り、自分はずっとシンの影に怯えながら生きていかなければならないのです。それだけは許せないことでした。

「でも貴方のような偉大な魔女なら恐れることはありませんよ。シンなんか、どんなライオンだか知らないけれど、ただの動物じゃないですか。貴方の一睨みであっという間に石になってしまうことでしょう。ああ、待ちきれないな、汚い獣が貴方の前であっという間に石になるところを見られるなんて…」
「…黙れ。お前のような者に、一体奴の何が分かる」

言い終わらないうちに、人間の子は白い魔女からそれこそ凍るような視線でギリリと睨まれたので黙ってしまいました。せっかく白い魔女に調子を合わせようとおべっかを使ったというのに、一体何の不満があったのでしょう。まるで…シンを侮辱されることに怒りを感じてすらいるかのようです。

白い魔女はすっかり萎縮してしまった人間の子と、取り巻きの小人を連れて早速ソリでテラニアの偵察に出かけました。せっかく隣に座らせてもらっているというのに、人間の子供はちっとも白い魔女から優しい言葉をかけてもらえません。シンの名を聞いた途端、まるで人間の子供は白い魔女の視界から全く消え失せてしまったかのように、白い魔女はアダムの息子に関心を示しませんでした。

ソリでしばらく行くと、それまで雪と氷に完全に覆われていた土地が、段々と春のような気候へと変化していくのがわかりました。あちこちでは氷が溶け始め、雪の中からクロッカスやヒヤシンスの花が頭を覗かせています。そのうちに白いベールのように全てものを覆い隠していた雪はすっかり消え去ってしまい、あたりは段々と暖かくなってきました。

ソリの手綱を取っていた小人が叫びました。

「冬の魔法が溶けてしまっている!これはシンの、シンの仕業です!」
「…二度とその忌々しい名を僕の前で口にしてみろ…お前の命は無いものと思え。」

なんということでしょう。自分の魔力があれほどにまで強くなったのは、元はといえばシンの非道な仕打ちのせいだと白い魔女は思い込んでいました。それなのに、その元凶であるシン自身がテラニアに戻ってきただけで、雪と氷に凍てついたテラニアは命の息吹を吹き返し、色とりどりの花達で飾られているではありませんか。そしてテラニアの生きとし生けるもの達は皆、シンの名を神様のように崇め奉っています。しかし、それでは一体自分の存在はなんだったというのでしょう。あたりは暖かい春だというのに、相変わらず白い魔女の周辺だけは冷え冷えと凍て付いた空気に包まれており、自分の触れた生き物は相変わらず石になってしまいます。何故自分だけがシンの暖かい世界に触れることが出来ないのか。何故自分だけがこれほどまでにシンに苦しめられなければならないのか。白い魔女は、自分の最後の矜持を守るためにも、シンの存在だけは決して認めるわけにはいかなかったのです。

そっと恐る恐るアダムの息子が伺った白い魔女の横顔は、その美貌に似合わない屈辱と悔しさでまるで今にも泣きそうに歪んでいました…。


しばらく行くと、邪悪な仲間の一味である狼が息せき切って駆けつけてきました。

「奴等はもう石台に集まっています…偵察に送り出した我等の仲間は既に殺されました。ここは危ない、早く逃げましょう!」

ということは、自分の兄弟達は既にシンと落ち合っているということです。アダムの息子の心は希望で温かくなりました。しかし、白い魔女はひるむどころか冷たい声で指示を出します。

「…いや、逃げるつもりはない。僕は奴と戦うつもりだ。闇の生き物達を全て呼び寄せるがいい」

人間の子は手近の木にくくりつけられ、運命のときが来るのを待たされることになりました。空腹と疲労で気を失ってしまった人間の子が次に目覚めたのは、シンの軍勢に助け出された後でした。しかし、それだけでめでたしめでたしとはいかなかったのです…。




戦いの準備を整えているシンと人間の子供達の前に白い魔女からの使いの者が現れました。白い魔女がじきじきにシンに伝えたいことがあるというのです。

「いいだろう」

シンは頷きました。

「ここにいる者達に手を出さないと誓うのであれば、話し合いの場に立ち会ってもいい」

使いの者が消えてしばらくして、丘の上から白い魔女が現れました。日に直接当たらない大きな木の木陰までやってくると、白い魔女はそれまで身に着けていたフードつきの外套を脱ぎ捨てました。下から現れた魔女の腕は、今まで日光にさらされてきたことがなかったためか、暗い木陰の下でそれはそれは雪のように白く輝くほどでした。途端に辺りの空気が大変に冷たくなり、シンの周囲の者達は動揺してお互いにいろんなことを囁き始めました。全く揺らがないのは、シンと白い魔女の二人だけです。二人はしばしの間、火花が散るのではないかという程の力強い目線で睨みあっていました。

しかし、シンも白い魔女も、実は心の中では大変に揺れていました…。白い魔女にしてみれば、シンはまだ生まれ落ちたばかりで無垢であった自分を散々に辱め、自分が全身全霊をかけて呪っている憎い仇です。今まで氷のように凍て付くばかりであった白い魔女の瞳には、熱い憎しみの炎が燃え盛っています。

そして、シンも同様に、長いこと想い続けて来た想い人を目の前にして、万感の思いでした。初めて出会ったときも驚くほどに美しかったブルーですが、完全な白い魔女となったブルーは、更に氷の彫刻のようにぞっとするほど美しく、シンの目を奪います。今は人の形でなく獅子の姿でありながら、ブルーに飛び掛り、押し倒し、獣の本能の侭に貪ってしまいたい衝動にかられます。しかし、まだその時ではありません。

「古き契約を忘れたか、シン…掟は掟だ。お前が知らないとは言わせない、古の時から決められている決まりを…」
「皆、下がってくれ。僕は一人で白い魔女と話がある」

白い魔女は冷たい声で淡々とシンにテラニアの古の掟を思い出させます。テラニアにおける裏切り者を処刑する権利は、白い魔女にあるのです。もしシンがアダムの息子の命を救いたければ、シンは代わりに自分自身の命を差し出さなければなりません。

「どうする。あの人間の命を助けるために死にたいか」

勝ち誇る白い魔女の声…。しかしシンは動じません。何故なら、これは全て最初から決められていたことだとシンは知っていたからです。アダムの息子を助けるために、シンは白い魔女の手にかかって命を落とす。その筋書きを、全てシンは知っていました。シンは黙って白い魔女の取引を承諾すると、その日の夜に白い魔女の陣営を訪れることを約束しました。




その夜シンはお供を誰も連れずに一人で白い魔女の陣営に現れました。白い魔女の取り巻きの邪悪な獣達が待ち構えています…。抵抗一つ見せないシンを、あっという間に白い魔女の手下達は石台に縛り上げます。白い魔女は手下の者達を全て下がらせ、白い魔女と石台にくくりつけられたシンは二人きりになりました。白い魔女の目は、今やっと復讐を成就できるという喜びに爛々と輝いています。しかし白い魔女は自覚こそしていないようでしたが、その瞳の中に光るものは確かに情欲の色だったのです。その美しい紅い色に、シンは無言のまま見惚れていました。

「やっと…やっとお前をこの手にかけることができる…」
「……」
「だが、簡単に殺しはしない。まずお前が僕にしたように、お前を嬲りものにしてやろう」

白い魔女は、興奮に彩られた声で言い放ち、歓喜に震える手をシンに向かって伸ばしました。しかし…。

ビシィィッ!!!

まるで雷に打たれたような衝撃を感じ、白い魔女は手を引っ込めました。なんと…完全に目覚めてしまった白い魔女は、自らの意思でシンに触れることが出来なかったのです。シンも知らなかったこの事実に、シン自身も内心非常に驚きました。しかしよく考えてみれば分かりそうなこと…。約束のときが来る前に、白い魔女とシンが触れ合い、情を交わすようなことでもあれば、テラニア浄化の全てが台無しになってしまうのです。白い魔女は再びシンの身体に触れようと、何度も試してみましたが、どれも同じです。白い魔女はシンに指一本触れることすら出来ませんでした。

「なんだ…なんだ、これは…」
「嬲りものどころか、お前は僕に触れることすらできない…お前の力は所詮その程度だ、白い魔女よ」

敢えてシンは白い魔女の怒りを誘うように揶揄しました。あと一息で、予言が成就するのです。

「それならば…当初の予定通り、お前の命を貰うだけだ!!」

あれほど復讐の日を夢見ていたというのに、自分はシンに触れることすら許されない…白い魔女の心は新たなる絶望で塗りつぶされました。しかし、この自分がシンに触れることを許されないというのなら、今後一切シンを他の誰にも触れさせることを許すわけにはいきません。それを歪んだ独占欲だと気づく余裕もなく、白い魔女は逆上し、傍らに置いてあった剣を振り上げ、そのまま全身の力を込めて一突きでシンの心臓を貫きました。シンの身体を剣が貫いた瞬間、シンの心は歓喜に満たされました。これで、また一歩予言の日に近付くことが出来たのです。最愛のブルーの手で、命を落とすことができた…。そして、次にシンが目覚めたときは、もうすぐ全てが終わる日です。

もうすぐ、もうすぐだ…。

もうすぐまた、貴方に会える。


ブルー、もうすぐだから、待っていて…。
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